転入生二人
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フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかもしれませんがよろしくお願いします」
シャルルの自己紹介が終わり、数瞬の沈黙の後またも教室が割れんばかりの声に包まれた。しかし今度は疑問の声ではなく、歓喜の絶叫だった。
絶叫の後、ところどころで浮ついた声が聞こえるが千冬がそれをおさめる。そしてもう一人、銀髪少女の番になったが少女は千冬に言われるまで一言もしゃべらず、自己紹介もまったく淡白なものだった。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
なんとこれだけである。
それに皆があっけにとられていると、ラウラは一夏を目にし、まるで鉄面皮のように固まっていた表情を初めてゆがめた。だが次の瞬間、渇いたような音とが教室に響いた。
一夏がラウラにひっぱたかれたのである。
それを見た響は思わず吹いてしまった。幸い誰にも気付かれていなかったが、響の中では面白くてしょうがなかった。
……やっぱりやったかー、織斑先生のこと教官って言ってるあたりか変だとも思ったけど。まさかいきなりやらかしてくれるなんてな。
口元を覆いながら響はラウラを見つめる。彼女の瞳には明らかな怒りと、憎しみがこめられていた。
一夏もラウラに反論していたが、どうやら取り付く島もなかったようだ。
それを見かねた千冬が行動を起こした。
「あー……では以上でHRを終了する。各自身支度を整え第二グラウンドに集合だ、今日は二組と合同の授業だ。遅れるなよ。では、解散!」
言われた生徒達は、てきぱきと準備を始める。一夏も何か腑に落ちないような顔をしていたが、シャルルを連れ教室からいなくなった。男子更衣室に行ったのだろう。
「さて、じゃあ私も着替えますかね」
立ち上がった響も授業に行くための準備を始めた。
ちなみに廊下のほうから女生徒たちの歓喜の声が聞こえたのはそれからすぐあとのことである。
午前の二組との合同授業が終了し、響はセシリアと共に昼食をとっていた。例により響は購買のパンである。
するとセシリアがパンにかじりついている響に声をかける。
「あの響さん、わたくし今日サンドウィッチを作ってきたのですが。……よろしければどうぞ」
もじもじしながら持っていたバスケットを、響に差し出す。
「おー、うまそうだなじゃあ一つ……」
バスケットの中に納まっているサンドウィッチを掴むと、そのまま口に運び租借するが、見る見るうちにその顔が蒼白になっていく。
「どうでしょうか?」
セシリアはそんな響が見えていないかのように、若干顔を赤らめながら問うが響はそれどころではない。
……な、なんだこれは!? なんでBLTサンドが甘い砂糖か砂糖なのか!? いやそれよ
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