初めての都市
シキあるところに汚染獣あり
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だ。さて、正念場じゃ――――』
『お話のところ申し訳ありません。緊急事態です』
突然、バンクルトとの会話が中断され、焦った念威操者の声が聞こえた。
『どうしたんじゃ?』
『最悪です。都市直上、つまり空から巨大な質量が三つ接近しています』
「……なっ!?」
シキは急いで、上を見ると三つの点が徐々に近づいてきていることに気づいた。視認できたが、そのうちの一体が都市に急降下してきていた。
そして振動と共に一体の汚染獣がヨルテムに飛来した。
端子からは怒号が飛び交う。
『母体が救援を呼んだのか!?』
「いや、それにしては早すぎる。偶然、見つかったんだろ」
汚染獣の母体は子供である幼生体が全滅すると、付近にいる汚染獣たちを呼ぶという厄介な性質を持っていた。しかし、呼ぶのは三十分かかるはずなので、今回は付近を飛んでいた汚染獣たちが偶然気づいたのだろう。
その時、バンクルトの焦った声がシキの耳に飛び込んだ
『イカン!! 戦力を割き過ぎた! 都市内部にはまともな戦力などおらんぞ!』
『降下地点では、避難が終わっていません!!』
シキは、端子からの報告を聞いていなかった。
汚染獣が降りてきた地点には覚えがあったからだ。
「ッ!!」
地面を砕きながら、シキは空中へと跳んだ。
あの場所のシェルターは、メイシェンたちの学校が指定したシェルターがあったはずだったからだ。
「遅いねー、何してんだろ」
ミィフィはそう愚痴をこぼしながら、中々進まない列にため息を付く。
ナルキは泣き出したメイシェンをなんとかなだめ、グッタリと疲れながらそれに答える。
「どうやら入口付近で喧嘩が起きたらしいぞ」
「知ってるー。……来てるんだよね、汚染獣が」
ミィフィたちには実感が沸かなかった。
人類の天敵だと授業で習ったが、遭遇したのは初めてだ。見てもいない物を恐ろと言われても実感が沸かないのは当然だろう。
「シッキーは大丈夫かなぁ、もしかして戦場にいたり」
「シッキー……う、うぇええええん」
「あぁ! もうミィ! 少しは考えて喋れ!」
ナルキがミィフィの言葉を咎める。
メイシェンの中では、汚染獣の恐怖よりもシキの安否が気になってしょうがなかった。
「大丈夫だ! 父さんだって戦っているし、何より交叉騎士団がそう簡単にやられはしない」
「ほ、ホント?」
涙目になりながら、上目遣いをするメイシェンを見た付近の男子のハートが打ち抜かれる。小動物的な可愛さと守りたいオーラが溢れ出ている今のメイシェンは、ナルキですら抱きしめて撫で回したいほど可愛かった。
「あ、あぁ! それにシッキーが戦うことはないよ、何より子供なんだから」
シキの実力を知らないナルキは、安心させるためにそう言う。
強いとは知っている
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