初めての都市
シキあるところに汚染獣あり
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いが交叉騎士団の一員である武芸者に矢継ぎ早に言う。
言われた武芸者は、自身の近くに合った念威端子をシキに譲渡すると、アイナの肩に両手を置いて誘導する。
「シキ!! 無理だけはしないでね!」
アイナのその言葉に、シキは苦笑しながら見送る。
そして、すぐに表情を変えると譲渡された端子にバンクルトを出すように言う。
最初は渋られたが、シキの名前を出すとすぐに繋げてもらえた。
『シキくんか。状況は……言わんでもわかるか』
「大方、地下にいた母体の巣にぶち当たって、そこから溢れ出した幼生体に脚を取られてんだろ?」
『そのとおりじゃ。君との訓練を想定していたので、今、防衛戦をしておるところじゃよ』
予想通りの答えに、シキはため息をつきながら、端子を手で掴む。続いて、活剄で強化した脚力で、近くのビル屋上に跳んだ。
そこから視力を強化して外縁部を見ると、大量の幼生体が見えた。
ところどころ爆発が起きて、外縁部から都市へ侵入する幼生体を墜落させていく。
「見えた。今のところ大丈夫そうだな」
『あぁ、二千弱だそうだが食い止めておる。君との訓練が今日でよかった』
それはシキも同意する。
偶然だったとしても、すぐに防衛が始められたのはそう言う訓練を提案したシキの手柄だった。試射のために剄羅砲を動かしていたのも、幸運というよりも奇跡に近いかもしれない。
しかし、次に言われた言葉にシキは驚く。
『シキくん、今回の戦いはワシらだけでやらせて欲しい』
「冗談キツイぞ、ジイさん」
シキは声を震わせながら、バンクルトの言葉に返答する。
だが、返ってきたのは戦場に似つかわしい優しい口調だった。
『君がいればあっという間に終わるんじゃろうな。君にとって、この程度危機ですらない』
バンクルトの言うとおりだった。
幼生体程度の相手、危機ですらない。だがそれはシキの基準だ。交叉騎士団の実力では、数人だろうが死者が出ることがシキにはわかった。
グレンダンですら、幼生体との戦闘では熟練の武芸者が死ぬことがある。それだけ、汚染獣戦は死傷率が高いのだ。
「俺が行けば余計な被害だって出さすことない!」
『それではダメなんじゃよ。……大人であるワシらが立たずに、君に頼ったらそれはもう武芸者ではない。ただの臆病者じゃよ』
「だけど!」
『優しいのぉ、君は。あの子、そっくりじゃ』
懐かしむような、それでいて懺悔しているような声にシキは口を噤むしかなかった。
『もう二度と過ちは犯さんと決めたのじゃ。それに、君に特訓してもらった成果は着実に出ておる。安心せい』
「……わかったよ」
シキは、ため息をつきながら鋼糸を戻して、弓を復元し構える。
「ここから、外縁部から出る敵を狙撃するよ。そのくらいならしていいだろ?」
『あぁ、頼ん
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