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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十話 オペレーション・マルス@
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もしれんからな……」

 湯船に身を沈めたままバルクホルンが言うと、宮藤やリーネがぎょっと顔を引きつらせる。

「こ、ここでの最後のお風呂って、そんな……」
「ま、待て宮藤!! いまのは……そう、例えだ。あくまでそうなるかもしれないという仮定の話であってだな……!!」

 しかし、バルクホルンの言葉に嘘や偽りはない。祖国奪還を賭けた決戦であれば、史上空前の大規模戦闘になることは間違いないのだから。その戦いに勝つことはおろか、生きて帰れる保証などありはしないのである。

「今はミーナたちが帰ってくるのを待つしかない。早ければ夕食時分に戻ってきているはずだ」

 そういうと、バルクホルンは目を閉じて湯船の岩に背中を預けた。
 蒼く澄み渡る空。陽光に煌めく広い海。
 すぐ目の前に迫った決戦の気配も、今この時ばかりは遥か遠くに感じられていたのだった――





「――司令本部からの作戦を説明します」

 すっかり日も沈んだ夜。いつになく険しい面持ちのミーナと坂本に集められた501部隊員らは、談話室の椅子にそれぞれ腰かけていた。

「司令本部はヴェネツィア上空のネウロイの巣を直接叩く総攻撃作戦を提案。作戦名は『オペレーション・マルス』に決定したわ」

 その言葉に、談話室の空気が一気に緊張する。
 ――ついに来たのだ。最後の決戦の時が。

「攻撃目標はネウロイの巣中枢に位置する球体状の本体。おそらく内部にコアを有しているわ」

 ロマーニャ全域の地図を壁に掛けてミーナは淀みない口調で作戦を説明していく。
 指揮官たるミーナの本領発揮といったところか。部隊を纏め、作戦を提案し、時に自らも前線にはせ参じる。これこそ本物のエースだろう。

「作戦には501統合戦闘航空団以外にも、扶桑海軍を中心とした各国連合艦隊が参加するわ。空と海、両方から徹底的に巣を攻撃する。これが作戦の基本骨子よ」
「待ってくれミーナ。巣を攻撃するのはいいが、決め手に欠ける。現状の戦力では不十分ではないのか?」
「いい質問ね、バルクホルン大尉」

 ミーナはそういて言葉を切ると、一瞬坂本の方を見てから言葉を継いだ。

「巣への直接攻撃を担うのは、連合艦隊旗艦の大和よ。わたしたちは大和が攻撃可能な距離に接近するまで護衛し、敵戦力を低下させるの」
「なに!? では我々は露払いと言う事か!?」

 ダンッ!! っと机を叩いて立ち上がったバルクホルンは、そう言って肩を震わせた。
 当然だろう。今日の今日まで戦い抜き、その結末が単なる露払いなど、到底認められるものではない。

「……これしか方法がないのよ。この作戦に失敗は許されない。これ以上防衛線を維持し、消耗戦を続けられるだけの余力は欧州にはないのよ」
「くっ……!!
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