旧校舎のディアボロス
第07話
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長たちが使う魔力でも、俺の使う魔法でもない。
そして神器が反応しているということは、あれは彼女の神器なのだろう。
数秒で傷が塞がり男の子が立ち上がる。隣に居た母親はシスターに頭を垂れるとすぐに男の子を連れて離れていく。
少し離れたところで男の子が振り返り
「ありがとう!お姉ちゃん!」
と礼を言った。
「ありがとう、だってさ」
イッセーが通訳をすると彼女は微笑んだ。
「その力・・・」
「はい、神様から頂いた素敵な治癒の力です」
イッセーの問いにそう返すが、その言葉はどこかさみしげに聞こえた。
少し空気が重くなり言葉を交わさないまま道を進む。
すると協会が見えてきた。
「あ、あそこです!よかったぁ」
シスターは手に持つ地図を確認する。どうやらあそこであっているようだ。
「じゃあ、俺たちはここで」
俺はすぐに立ち去ろうとするがシスターが呼び止める。
「ここまで連れてきてくれたお礼を教会で・・・」
「・・・ごめん、俺たちにも用事があるからさ」
イッセーが答える。よく見ると少し震えているようだ。仕方ない。教会は悪魔にとって敵地。感じるものがあるのだろう。
「しかしそれでは・・・」
「俺は兵藤一誠。親しい奴は『イッセー』て呼ぶから『イッセー』でいいよ。君は?」
このままではイタチごっこになると思ったんだろう。イッセーが話題を変える。
「アーシア・アルジェントと言います。アーシアって呼んで下さい」
アーシアは笑顔で答える。
この状況で俺だけ名乗らないわけにはいかないだろう。
「望月 朔夜だ。俺もサクヤでいい」
「イッセーさん。サクヤさん。よろしくお願いします。時間がある時に教会によって下さい。このお礼をしますから」
「分かった。じゃあまた」
「また会おう」
そういって俺たちは分かれる。
その約束を果たすことはできないだろう。
◇◆◇
「二度と教会に近づいちゃだめよ」
アーシアを教会まで送った日の夜。
イッセーは部長に注意を受けていた。むしろ、怒られていた。
「教会は私たち悪魔にとって敵地。踏み込めばそれだけで問題になるわ。今回はシスターを連れて行った厚意のおかげで見逃されたのだろうけど、いつ光の槍が飛んでくるかわからなかったのよ?」
そこまでだったのか。どうやら俺も認識が甘かったようだ。近くまでなら大丈夫だろうと高を括ったが今回は運が良かったらしい。
「教会の関係者もダメよ。特に『悪魔祓い(エクソシスト)』は私たちの仇敵。神の祝福を受けた彼らは悪魔を消滅させることが出来る。神器所有者なら尚更。いつ死んでもおかしくないわ。」
「は、はい」
悪魔祓い・・・悪魔を狩ることを生業とする人間。教会の武装集団みたいなものだ。神の祝福もそうだが、戦闘
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