第二十九話 運命と可能性
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可能性が広がっている―――」
何を根拠に彼がそう言っているのかはわからない。しかし、何か確信めいたものがあるのだろう。その言葉は断定的だ。俺は、それを受け入れて良いのか?
「気長に待つさ。君は大きな可能性を持っているはずだ。己の夢を追って星を目指すといい。その気があれば受け入れよう。こちらにつかないと言うなら、君の望む世界を案内しよう。道はいくらでもあるだろうさ」
そう言って渡されたのは幾つかの紹介状と様々な仕事の種類が書かれたタブレット端末だ。
「これは?」
「ファントムペインはじきに崩壊するさ。君はその後の道をどう歩むか考えておけばいいよ」
DSSD、ジャンク屋、傭兵、モルゲンレーテ―――もちろんその他にも様々な職種が存在している。どれだけの伝手があるのかは知らないが、少なくともこちらの生活を本気で保障する気なのだろう。
それらを机において、彼はそのまま部屋から出て行った。
「星を目指す、か……」
◇
「単純な心理学を突いたものだけど、割とあっさり引っかかってくれたな」
心理的なハードルを下げる条件に軟禁する環境によって変化が起こり易い。そうした上で会話などを適度に行うことで相手の心理を揺さぶると言うものだ。
例えば、親しい仲になった後に「こんなことを言うと君は私の事を嫌うかもしれないが―――」などの発言をすると殆どの人間は「そんなわけがない」と思いやすい。そして心理的抵抗が極端に低くなる。
俺がやったことはそれと似たような事に過ぎない。初めに自分の要求を言って、その後に選択肢を多く与える。そうすると人間は初めに出された要求に惹かれやすい。詐欺の手口でも常套手段だろう。初めは安い金額の要求で、後の選択肢に面倒なものを含めたものを出すことで最初の要求をそのまま呑むようになる―――ってこれは違うか?
「まあ、どれを選んでも結局は構わないんだけどさ……」
こちらに来てくれるのが一番良いに違いないが、だからと言って別に強要する気もない。面倒だし。
「さて、ミネルバに向かうか……MSの修理と改造ね……正直、間に合うかね?」
修理ならともかく、改造が間に合うとは思わない。そもそも修理に関してもハイネのグフやショーンのゲルググは出来ないだろう。億劫になりながらもミネルバの方まで荷物を用意して移動を開始した。
◇
「アウル、無事か?」
ネオ・ロアノークは撃墜されたアビスのパイロットであるアウルを回収してデストロイを収納していた大型の母艦ボナパルトに帰還していた。
「畜生ッ、アイツ等―――スティングの奴を!」
ネオの胸倉を掴みかかりながらスティングを殺したザフトやアークエンジェルに対して怒りを顕にする。
「俺が、俺が
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