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ゲルググSEED DESTINY
第二十九話 運命と可能性
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とクィーンにはポーンが付き従い、透明な駒にはキングが最も後ろに引き下がり、離れたところに倒れたナイトに程近い場所に幾つかの駒が、自らの陣営を現しているのであろう黒には異様に際立つポーンが一つ存在している。

「君だけではないのだろう?他の彼等にもプロモーションの可能性は存在する。故に私の計画は初めから破綻しているのかもしれない。だが、構いはしないのだよ……」

破綻していたのならそれまで、結局その程度で失敗するなら戦争をなくすことなど出来ないと言うことなのだ。だが、人はいつか総てを超えれる時が来る筈だ。

「そう感じるのは―――私もまた、その可能性に目覚め始めているからなのだろうか……?」

黒のキング―――自分の事を表す駒を指で倒し、転がり行くその駒は地面にまで落ちていった。







「スウェン・カル・バヤン―――君の経歴を少しばかり調べさせてもらったよ」

そう言ってスウェンが居た部屋に入ってきたのは彼を捕虜にした張本人、クラウ・ハーケンその人である。少し時間は遡るが、今現在の時間軸は彼がMS修理の為にミネルバへと乗艦する少し前の話だ。
デストロイによる虐殺が止められ、悲惨な町並みの様子が見られる戦闘が終わった直後の状況である。

「―――俺に何のようだ?」

手錠こそつけられているが彼の待遇は捕虜の扱いとは思えないものだ。あり余っている艦の部屋の一室に外側からロックを掛けているだけ。その気になればこの部屋から出る事位なら不可能ではない。結局やらない理由は相手の意図が分からない事と、目の前の彼が余りにも親しげに接してきたことからだ。

「そうだね、単刀直入に言っておこう。こちらの味方にならない?」

「断る」

当然だな、と言ってクラウはそのまま反対側の席に腰掛ける。明らかに油断している様子であり、その気になればあっさりと倒せるだろう。それをしないのはしたところで脱出の手段がないからに過ぎない。

「一応聞いておこう、何故?」

「俺はナチュラルのファントムペインで、多くのコーディネーターを浄化と言う名の下に殺してきた……」

今は戦時下であり、そんなことは当たり前だ。故にナチュラルの軍人はコーディネーターの敵を殺すし、コーディネーターとてナチュラルの敵を殺す。当たり前の事なのだ。

「そうだな―――だけど、もうじきそんな小さな枠組みなんてなくなる。宇宙(そら)は広い。そして時代は流れる。明日にでもその常識は変わり、ナチュラルとコーディネーターが腕を組む日が来るかもしれない」

「馬鹿な…そんなこと……」

「ありえないって?いいや、今にそんなこと言えなくなる日が来るのさ。そんな中で君は何をしたいと思っている?何処を目指す?何を目指す?世界は、そして宇宙には無限の
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