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クロスオーバー
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と動かし始めた――さらに過去の自分を見てみたい・・・
カーソルの動きは加速して左下に続く画面を表示して行った。画面の切り替えが早くなり、画面の内容が確認出来なくなる程になって急に画面の切り替えが停止した。その画面に表示されたのは涼子では無かった。
そこに映し出されたのは小樽のウミの部屋と、あの窓枠から外の風景を見つめるウミの姿だった――まだ小学生ぐらいだろうか。
窓の横にある机の上には犬のぬいぐるみが置いて有る。
画面を見つめる涼子に、いつもとは違うゆっくりとした口調でパールが話し始めた。
「あなたの魂は涼子の身体に入る前はウミの身体にあった。人の魂は身体の死によって入れ替わるものだけではなく、身体が生きている間にも、魂は必要な間隔を持って入れ替わる、入れ替わると、身体と、身体の持つ記憶と向き合って生きる。 あなたの前にも後ろにも必ず、誰かがいて繋がっている。 だから、誰も一人では無いのよ――」

そこでパールの声は聞こえなくなり、夢の再生は終わった。

涼子は手紙を読み終わると、ウミの手から手紙をゆっくりと取り上げた。
「お姉ちゃん――か・・・」そう言いながら涼子は手紙を折り目に沿って丁寧に折り
たたんだ。
折りたたむと、封筒のシワを伸ばし、中に入れた。
涼子はウミにその封筒を渡しながら言った。
「ウミ、私、またお母さんに会えて良かったよ」

エピローグ
涼子は店が終わると「OLIVE」へ遊びに行こうと友達のいづみを誘った。
涼子は店のエレベーター前で矢印のボタンを押し、5Fで点灯しているLEDを見つめながら降りてくるエレベーターをいづみと待っている。早く来ないかとでも言いたげに操作ボタンの付いているプレートを人差し指で何度も軽く叩いている。
「涼ちゃん、今日、高井さん来てたよね」
「うん」
「なんか今日の涼ちゃん嬉しそう」いづみが涼子の顔を覗き込む。
「そうなんだ」嬉しそうにいづみに振り向く涼子。
「何が有ったの?」
「あのね・・・『OLIVE』で話すよ」
エレベーターの4FのLEDが点灯してドアが開いた。
エレベーターに乗り込む二人。ドアが閉まる。

OLIVEに着くと丁度ショーの最中だった。
暗い客席をOLIVEのスタッフにハンドランプで案内されて二人は席に着く。
ショーが終わり、涼子といづみのテーブルに衣装から着替えたウミとパールが早足で着く。涼子はウミが来るのを待ちきれないようだった。
「ウミ!今日、高井さんから聞いたんだけど、高井さんのお兄さん、いや、あなたのお父さんね、意識が戻る兆候が出てきたらしいの! 連絡来てない?」と涼子がテーブル越しに体を乗り出してウミに聞く。
「エーッ本当?! 留守電にしていました! じゃ、日曜に行きましょう!」
「大丈夫なの?小樽の方は?でも、お母さ
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