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クロスオーバー
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かない?」
「あっ、見たいです、美穂ちゃんもいいですか?」
と言いながら友達を見ると、友達はパールを遠慮がちにちらりと見た。
「どうぞ、お二人で」とパールは両手を広げて微笑んだ。
「じゃあ見学させてください」
ミッコはパールに頭を下げた後、ステージの「男の子」を見るとその彼もミッコを見て微笑んでいた。


そうして「OLIVE」に入店すると、ミッコの源氏名は「ウミ」と付けられた。
本名の海子(みこ)の海からだった。
それを自分で申告したとき、パールからは「なんだか語呂が悪いわね」と言われたが、それは以上は何も言われなかったのでそのままウミとなった。
「ウミ」と名乗るようになってからの1年間は瞬く間に過ぎていった。
その一年の間にショーのステージにも参加するようになり「OLIVE」のスタッフの一員としての毎日を送るようになっていた。
一年を過ぎてから半年の間には指名が入るようにもなってきた。
その日はウミを指名するまだ数少ない客の一人で、近くのクラブのホステスである涼子が友人のいづみを連れて遊びに来ていた。
その涼子はクラブが終わって「OLIVE」に来てから2時間ほど経っていたので、もう朝に近い時間になっている。

「ウッセーバーローてめー!」
「涼ちゃん酔い過ぎだよ!」
「イヅミはいーから、イヅミはいーから」
「いっちゃん、僕も帰り一緒に涼ちゃんを家まで送ろうか?」
「うん、お願い」
「私は帰らないから!だいたい、ウミの踊りはまたレベルが落ちてるんだよー」
「いや今回はレッスンにあまり参加できなくて」
「私、今までウミにいくら注ぎ込んでると思ってるの!あれなら、明日から私が代わりに踊ってやるから!」
「人前に出ると以外に小心者なんだからステージなんて無理だよ」と友達のいづみが小声で囁く。
「ウッセーバーローてめー!聞こえてるんだよー」
「ごめん、ごめん、じゃあ涼ちゃんそろそろ帰ろうか」
「・・・」
「あれ、あっ、寝ちゃってるわ」

翌日午前 涼子のマンション
飼っている子犬に鼻を舐められて、涼子は目が覚めたが、まだ完全に酔っていた。
この状態で起きると胃の痛みに襲われそうなので、無理に目を閉じてまた眠りに入った。

その日、起き上がることが出来たのは午後8:00を過ぎていた。
例によって胃が痛い、でも胃が痛いことには慣れている。
シャワーを浴び、髪を乾かしながら昨夜のことを思い出していた。
服を着て、家を出る。タクシーを拾い、その日は10時に入店した。
「おはよう」と店のマネージャーに挨拶する涼子。
「大丈夫?」とマネージャーが聞いた。
「意外と大丈夫、不思議なくらい」
昨日の酔い方だと店に来れないだろうと思われていたらしい。
胃の痛さと体のだるさはひどいものだったが反面
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