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IS 〜インフィニット・ストラトス〜 日常を奪い去られた少年
第06話
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「っと、まぁ、大体こんな感じか」

シャルルが転校してきた次の日、俊吾は簪にマルチロックオンシステムのデータを渡すために整備室に来ていた。

たった今、完成したデータを打鉄弐式にインストールし終えたところだ。テスト可動をしていないのでどうなるかは分からないが、おそらく問題ないだろう。

「うん、インストールされた……あとは、荷電粒子砲だけ…………」

「あ、荷電粒子砲もあるんだ。結構凄いな」

「でも、まだ試作段階……」

「試作か……まぁ、荷電粒子砲程のモノになれば仕方ないか」

「うん……これは、結構簡単に出来そう……」

……荷電粒子砲が簡単に出来そうか。何というか、やっぱり楯無さんの妹なんだな……。やたら高スペックだ。…………俺がいなくてもエネルギー回路出来たんじゃないんだろうか。参考書片手に操作して、いつの間にか見なくても出来るようになって……。努力で乗り越えられたんじゃないんだろうか。

だとすると、俺はその貴重な努力の機会を奪ってしまったのではないのだろうか。俺が手伝わなければ、簪さんは楯無さんと並べて自身を持てたかもしれない。そうならないように楯無さんには頼まれたが、それはそれで一つの解決なのではないのだろうか。

姉と同じ土俵に立つ。それだけで、一つの自身に繋がるだろう。それで、同じ土俵に立ち姉と向き合う。これが理想ではないのだろうか。
確かに、必ずそうなるとは限らない。だけど、簪は自分自身で成し遂げた努力と言う大きな『糧』を得る。もし、楯無さんと向き合えなくともその努力という糧のお陰で別な自身に繋がる。これも一つの完成形なのではないのだろうか。

そう考えると、自分の善意というのは全て無駄で、何もかもが邪魔で、善意ではなく偽善になってしまう。

俊吾がそんな事を考えていると、簪が口を開いた。

「ありがとう……俊吾君のお陰で……私の打鉄が完成した……」

簪は一つ一つの言葉を繋ぎながら話している。口下手な彼女にとって話すのは難しいことで、苦戦しているようだった。

「私、最初は……本当にこの子を完成させようとしていた……お姉ちゃんに対抗するために……」

簪は何かを考えるように言う。

「正直言って……それに俊吾君を巻き込んで……申し訳ないと思ってる……ごめんなさい……」

簪は続ける。

「だけど、最初に手伝ってくれたときに言ってくれた言葉……覚えてる……?」

段々と言葉と言葉の間の間が無くなってきている。本人は気づいていないが、俊吾は気づいた。

「私、あれのお陰で救われた……どうしても、お姉ちゃんに勝ちたかったから、一人でこの子を完成させようとしていた。でも、それは無理だった……。やっぱり、私はお姉ちゃんよりもダメなんだって思うと悔しくて……」

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