暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜双子の剣士〜
第一章 はじまり
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「ぬおっ??とりゃっ??うひぇぇっ!」


奇妙な掛け声に合わせて滅茶苦茶に

振り回された剣先が空気のみを切る

直後、巨体のわりに俊敏な動きで剣を回避した

青いイノシシ《フレンジーボア》が

攻撃者に向かって突進を見舞った

平らな鼻面に吹っ飛ばされ草原を転がる有様を見て

キリトとノアは笑い声を上げた


「そうじゃないよ

重要なのは初動のモーションだよ、クラインさん」

「ってて??にゃろう」


毒づきながら立ち上がった攻撃者

パーティーメンバーのクラインはちらりと

キリトとノアを見ると情けない声を投げ返してきた


「ンなこと言ったってよぉ

ノア??アイツ動きやがるしよぉ」


ノアはふらふらしているクラインを見て苦笑し

足元の草むらから小石を拾い上げると肩の上で構えた

小石がほのかな緑色に輝く

直後、左手が閃き空中に鮮やかな光のラインを引いて飛んだ小石が

再度、突進しようとしていた

《フレンジーボア》の眉間に命中した

ぶきーっ!と怒りの叫びを上げ

イノシシがノアの方を向く


「動くのは当たり前だ訓練用のカカシじゃねぇんだ

でも、ちゃんとモーションを起こしてソードスキルを発動させれば

あとはシステムが技を命中させてくれる」

キリトは投擲用のピックを

ペン回しをするようにくるくる回しながらクラインにそう言った


「モーション??モーション??」


クラインは呪文のように繰り返し呟きながら

右手で握った海賊刀(カトラス)を振った

イノシシの突進を右手の剣で防ぎながらノアはうーんと首を捻った


「どう言えばいいかなぁ??

一、二、三で構えて振りかぶって斬るんじゃなくて

初動でほんの少しタメを入れてスキルが立ち上がるのを感じたら

あとはこうズパーン!て打ち込む感じ??」

「ズパーン、てよう」

「まぁ、やってみれば分かる」


クラインは悪趣味なバンダナの下で剛毅に整った顔を

情けなく崩しながら曲刀を中段に構えた

クラインは深呼吸してから腰を落とし

右肩に担ぐように剣を持ち上げる

今度は規定モーションが検出され

ゆるく弧を描く刃がオレンジ色に輝く


「りゃあっ!」


クラインの掛け声と同時にこれまでとは

打って変わった滑らかな動きで左足が地面を蹴った

しゅぎーん!という心地良い効果音が響き渡り

刃が炎の色の軌跡を宙に描いた

片手用曲刀基本技《リーバー》が突進に入りかけていた

イノシシの首に見事に命中し、残りのHPを吹き飛ばした

ぷぎーという哀れな
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