第二十八話 夜明け
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『終わって、堪るかァッ―――!!』
(シン……スティングを、止めて……)
その声を聞いて動きを止める。あの声は確かにステラだ。そしてステラはこのデストロイのパイロットを止めてくれと、そう言ったのが確かに聞こえた。幻聴なのかもしれない。でも、自分には確かに聞こえたのだ。
無理矢理体勢を立て直す。機体が壊れようとも構わない。この身が果てようとも構いやしない。
『俺は―――ステラを守るッ!!』
「何でだよ!何で生きていやがる!?」
スティングは完全に倒したとばかりに思っていたインパルスが向かってくることに驚愕する。そして、エクスカリバーの断刀はデストロイを貫いた。
「あッ、がッ!?」
スティングは意識が消え去る瞬間、生意気そうな青髪の少年とぼんやりとした金髪の少女が目に浮かぶ。
(誰だったかな……)
記憶が混濁して思い出せない。だけど、自分にとってとても大事な人間だったと思う。ただ何処か頼りなさげな二人の様子を見て、しょうがねえなと思って引かれていく手に引っ張られていった。
◇
「終わったのか……」
戦闘が終わった。デストロイはインパルスによって止められた。エクスカリバーはコックピットを貫いていたのでパイロットは即死だろう。
完全に沈黙したデストロイ。しかし、街は焼かれ、無残な戦争の傷跡を残すばかりだ。
「俺たちは守れなかったのか……」
アスランは己の無力さを責める。無意味だったとは言わない。だが、全てが遅すぎたんだ。結局、その場限りの火消しをしただけなのだ―――そう自分達を責める。
「アークエンジェルも撤退していくんだな……」
追える余力はない。向こうも余力はないだろうが、それはこちらも同じなのだ。
「―――クソッ!」
あの大型兵器が出てくる前に何とかできなかったのだろうか。甘い理想論だって事は分かってる。だけど、また同じことが繰り返されたとして、同じように駆けつけて、同じようにその場の火消しだけして、それでまた出てしまった被害と犠牲を見て悔やむのか?
――――――また間に合わなかった、と。
それこそ、本当にただのヒーローごっこじゃないか……。
「俺は、本当はどうすれば良かったんだ……」
艦に帰還して全員の様子はその戦果に浮かれるよりも先に疲れが見えていた。シンも疲れが出ているようだ。ロッカールームで全員が椅子に座るかロッカーにもたれかかっていた。
「シン……その、良くやった。あれを止めることが出来たのはシンのおかげだ」
「そう、ですね……ありがとう、ございます―――」
シンも手放しに喜べるような状況ではないのだろう。だが、戦果は教えるべきだ。
「俺たちは、何を守れたんだろうな…
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