23話
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黙りこんでしまう。
皆のそういう空気を察したロイドはこれじゃ駄目だと皆を励ました。
「間近で問題に接して気負ってしまったけど、俺たちの目的は喧嘩の仲裁だ。今はそれに集中しよう」
ロイドの声掛けは空元気であったし、旧市街全体の問題に比べたら不良同士の喧嘩の仲裁なんて軽いさ、と現状を無視した発言でもあったが、問題の大きさに立ち止まるよりは今出来ること、やれることに向かうのだと皆は励まされた。
「情報も少しは揃ってきたんだ。何か思いつかないかな?」
多少経済に通じていたエリィは旧市街の構造を理解するとそこに利害を嗅ぎつけた。
「テスタメンツが現れた事で縄張りを取られたことが抗争の原因じゃないかしら?」
旧市街の治安を守っているサーベルバイパーがテスタメンツを抑えられず密輸業者などから貰っていた見返りがなくなったので本気の抗争が始まったのではないかとエリィは推理した。
「だが、不戦条約からもう2年だぜ?金が理由ならとっくに本気の抗争が始まってるぜ?」
「俺もそう思う。ヘッド同士はそこまで険悪な雰囲気じゃなかったしグループ同士の力もほぼ拮抗しているから小競り合いが続くわけで、あっ」
突然ロイドが言葉を詰まらせて考え始めた。
「どうしたんですか?」
「広場で喧嘩していた不良たちがお互いに罵っていただろう?汚い真似をしたって。利害でもない、日常茶飯事の喧嘩の延長でもない、不良同士の長い小康状態を打破する何かがあったんだ、それも最近」
3人は推理を披露したロイドの言葉に驚いていた。
「準備してまで徹底的に潰し合うというのも裏を返せば本格的な抗争の準備がお互いに出来てなかったってことになる。計画的じゃなかった、なにか偶発的な出来事があって行き違いが生まれてるんじゃないかな?」
尊敬の眼差しでリーダーを見つめる3人。
ロイドはリーダーとして責任感もありやる気のある熱血漢で理路整然と状況を説明し指示を出すなど頭も良いことはわかっていたが、捜査官として事件の真相を探り出す嗅覚があるのかは未知数だった。
新人警察官として現場経験のないなら出来なくても当然だと思っていたのだが、利害関係が原因でないと知るとすぐに不良同士の会話を思い出して状況を推察してみせた推理力には驚かされた。
「な、何んだ、的外れだったか?」
「いいえ、驚いただけよ。さすが捜査官だって」
「はい。そういえばそんなこと言ってました」
「良いとこ突いてると思うぜ」
「ああ。お互いの事情を突き止められれば仲裁が出来る隙があるんじゃないかと思うんだ」
だが、それを確かめるには問題があった。喧嘩は日常茶飯事過ぎて外部の人間からは何が卑怯だったかなんてのはわからない。お互いに本気で潰し合う動機は本人に尋ね
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