23部分:第二幕その十五
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第二幕その十五
「伯爵様、どうか」
「御聞き下さい」
「是非共」
マルチェリーナにバルトロ、バジーリオだった。伯爵は三人の姿を見てまずは眉をあげそのうえで言うのだった。
「ふむ。私にとってはいいことだ」
彼等の来訪のことであるのは言うまでもない。
「復讐をさせてくれる。これで一安心だ」
「まずいわね」
「全くです」
夫人とスザンナは三人を見て顔を顰めさせていた。
「折角このままいけると思っていたのに」
「厄介な連中が」
「三人の間抜け共が来たな」
フィガロはとりあえず鼻っ柱は強いままだった。
「一体何をしてくるのだ?」
「では聞こう」
伯爵は悠然さを装って三人に対して向かい合った。
「そなた達の申し出は何だ?」
「はい、実はですね」
マルチェリーナが伯爵の前に進み出て申し出て来たのだった。
「私とフィガロは」
「うむ」
ここでフィガロの方を見て話をするのだった。
「婚約の約束をしました。それが果たされることを主張します」
「えっ!?」
「婚約!?」
フィガロもスザンナもこれには思わず絶句してしまった。
「そんなことが!?」
「ここで?」
「静かにせよ」
伯爵は己の優位を確信しつつその二人と妻の顔を見つつ述べた。
「ここではな」
「くっ・・・・・・」
「それでです」
今度はバルトロが前に進み出て申し出る。
「私は彼女の名誉と正しさを守る為弁護人となることになりました」
「それは許されないわよ」
夫人が怖い顔になってバルトロに対して言ってきた。
「貴方だけは。それは」
「静粛に」
しかしここで伯爵は余裕を見せて妻を静かにさせるのだった。
「私が話を聞いているのだからな」
「うう・・・・・・」
「私は証言の為に」
最後に出て来たのはバジーリオだった。
「フィガロが借金の代わりに婚約のことを約束したことを」
「よし、わかった」
伯爵は内心得意げに笑いながら頷いたのだった。
「ではその契約を読んでみよう」
「まずいわ、これは」
「そうね。こうなってしまったら」
スザンナも夫人も今の自分達の状況を理解する他なかった。
「本当にフィガロとマルチェリーナが」
「そうなってしまったら貴女は」
「はい、おしまいです」
こういうことだった。
「何もかも」
「茫然自失とはこのことだ」
そしてさしものフィガロもどうしていいかわからなくなってしまっていた。
「地獄の悪魔がここにやって来たようだ」
「さて、形勢逆転だな」
三人に対して伯爵は悠然とした態度になっていた。
「見事な打撃だ。幸運の神々がやって来たようだ」
「そうですね。これで」
「恨みを晴らせる」
「善き哉善き哉」
その伯爵の周りではマルチェリーナ達三
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