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デート・ア・ラタトスク
精霊のいる世界
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れは……」

「こ、これが空間震…………」

呆然とつぶやく。

何の比喩でも冗談でもない。

まるで隕石でも落ちたかのように。

否、どちらかといえば、地面が丸ごと消し去られたかのように。

町の風景が、浅いすり鉢状に削り取られいた。

そして、クレーターのようになった街の一角の、中心。

そこに、何やら金属の塊のようなものがそびえていた。

遠いため細かい形状までは見とれないが――まるで王様が座っている、玉座のフォルムをしているように見える。
だが、重要するのはそこではなかった。
その玉座のひじ掛けに足をかけるようにして、奇妙なドレスを纏った少女が一人、立っていた。

「あの子――なんであんなところに」

「テネブラエ、もしかしてあれが」 

「はい。あれがこの世界の精霊です。あの精霊が持っている力はルーメンです。気をつけてください。例え、精霊であってもその力に支配されれば大変なことになります」

そう。エミルとマルタととテネブラエが探しているセンチュリオン・コアの力は自然現象を変えるほど、強力な物である。そんなものをエミルやラタトスクの加護があるマルタ以外がそれを長時間持っていると正気には戻れない。まるで、マルタの父親のように

すると、少女はこちらに気づいたのか、こちらを向いた。少女はゆらりとした動作で、玉座の背もたれから生えた柄のようなものを握り、それをゆっくりと引き抜く
それは――幅広の刃を持った、巨大な剣だった。そして、少女が二人に向かって、剣を横薙ぎにブンと、振り抜いてきた。

「士道!!危ない!!」

エミルは咄嗟に士道をしゃがませる。そして、さっきまで後方にあった家や店やビルが崩れていた

「なんて、でたらめな力なんでしょうか。ルーメンは暴走していないというのに」

「あの力で暴走していないの!?」

「じょ、冗談じゃねぇ……っ!」

士道は急いでエミルの元を離れ、全力で走った。少しでもない早く、少しでも遠く、この場から逃れるために―――!

だが。

「―――お前も……か」

「………っ!?」

「士道!!………え?何で……」

二人は驚いた。今、自分達の目の前には、一瞬前まで存在しなかった少女が立っていたのだ。その人物はクレーターの中心にいた少女だった

今の二人にとって、状況の異常さ。風貌の奇異さ。存在の特異さ。どれも、二人の目を引くには十分すぎた

嗚呼、だけれども。

士道とエミルが目を奪われた理由に、そんな不純物は含まれていなかった。それくらい、少女はそれこそ暴力的なまでに――美しかったのである

「――君、は……」

「――君の、名前は?」

二人は呆然と、声を発していた。そして、少女は――


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