第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十九 〜会見〜
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。奴をどう見る?」
「ぐー」
「寝るな!」
私が何か言う前に、稟がすかさず起こしてしまった。
「おおぅ! 朝日の心地よさに、ついウトウトと」
「それで稟。皇甫嵩の事、どう見る?」
「は、はい。統率力に富み、朝廷の臣としては当代きっての名将、と言えましょう」
「むー。風にお訊ねになったのではなかったのですか?」
……寝ていたであろうが。
膨れる風だが、ここは放置だな。
「人物は私欲なく、清廉潔白、と聞いているが。当然、宦官との折り合いは悪いのであろうな?」
「そのように聞いております。尤も、朱儁殿も同様との事ですが」
「…………」
「何か、気がかりな事でも?」
稟が、私の顔色を見たのだろう。
「ああ。風、当てて見せよ」
「……風に、御用はなかったのではありませんか?」
「いつまでも膨れているものではない。お前は、私の大切な軍師なのだぞ?」
「やれやれ、お兄さんには敵わないのですよ。お兄さんは、宦官さん達がお兄さんに目を付けないか、それを気にしていますよねー?」
「その通りだ。皇甫嵩と朱儁が何進寄りの上、華琳や孫堅のような地方軍閥も宦官とは距離を置いている。となれば、武力を欲する宦官共が、我らに目を付ける……そう、考えるべきだと思うが」
「その懸念はありますね。ますます、疾風の働きが重要となって来ます」
「うむ……」
何進から、どのような反応があるかはわからぬが。
権力闘争に巻き込まれるのだけは、願い下げだ。
あまりにも、得る物よりも失う物の方が大きいだろうからな。
自惚れるつもりはないが、我が軍は相応に精強である。
黄巾党討伐で、思いの外名を知られた今、どのように利用されるか……杞憂であれば良いのだが。
「申し上げます」
そこに、兵がやって来た。
「如何致した?」
「はっ。趙雲様がお着きです」
「ほう、早いな」
恐らくは、愛紗が先行して使者を走らせたのだろう。
「主!」
小走りに、星が駆け寄ってきた。
「主。お久しぶりですな」
「ああ。北平での務め、大儀であった」
「いえ、白蓮殿が努力されておいでですから。私は、その手伝いをしたまでの事」
「星。幽州の情勢はどうでしたか?」
稟の言葉に、星は表情を引き締める。
「良くはない、な。烏丸は今のところなりを潜めているが、黄巾党の残党が入り込んできていてな。鈴々と共に、だいぶ討伐したつもりではあるが……」
「やはり、本隊が壊滅しても、いたちごっこは続きそうですねー」
「それに、飢饉の影響もまだまだ残っている。当面、白蓮殿も苦労が絶えぬ事であろうな」
真面目な白蓮の事だ、いろいろと抱え込んでいるに違いない。
何とか、力になってやりたい……とは、私の思い上がりか。
「主。今宵は、共にお過ごしいただきますぞ
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