第3話 マイホーム
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で座り込んでしまった。何かいけないこと言ってしまったのかな?
「あらら、お兄さんは拗ねちゃったみたいね。それじゃあリュカ私が本を読んであげようかしら」
そんなサトチーにいさんを無視して、お姉さんが棚から取り出したのは古い一冊の本。いつも、おとうさんやサトチーにいさんに読んでもらっているから、本は大好きだ。
「じゃあ読んであげるね! えーと……そ……ら……に……えーと、く……せし……ありきしか……」
よく分からない。そんなに難しい本なのかな?
「………………これはだめだわ。だって難しい字が多すぎるんですもの!」
そう言ってお姉さんは頬を膨らませてしまった。その背からいつのまにか立ち直っていたサトチーにいさんの手が伸びる。
「なんだー、こんなもんも読めないのかビアンカはー。んー何々ー」
ひょいっとお姉さんから本を掴み取り、何時もの調子で読み上げる。そんなサトチーにいさんを口をあけて見るお姉さん。ぼくも早く本が読めるようになりたい。
「な、なによちょっと調子が悪かっただけよ……というか、あなたいつの間にそんなに読めるようになっているのよ。前は全然だったじゃない」
「はっはっは。旅の間、親父に習った」
ぼくもサトチーにいさんが習っているのを見ていたこともあったけれど、夜遅くにやっているんだもの。いつも途中で寝ちゃうんだ。
それから、しばらくはビアンカお姉さんにどんなところを旅してきたか、たくさん喋った。うまく話せたか分からないけれど、お姉さんは優しくひとつひとつ聞いてくれた。たくさん、楽しかった。因みにサトチーにいさんは飽きたと言って途中でどこかに行ってしまった。
「ビアンカ、そろそろ宿に戻りますよ!」
ビアンカお姉さんのお母さんが呼びに来た頃には窓の外も赤くなっていた。いつの間にそんなに時間が立っちゃったんだろう。
「それじゃあね、リュカ。今日は私も楽しかったわ、またお話聞かせてね」
ぼくが返事をするとビアンカお姉さんは笑って手を振ってくれた。
入れ替わりでサトチーにいさんが帰ってくる。泥で汚れた服も気にせずにんまりと、よくする口の形を見せて言う。
「おい、リュカ。明日面白い所に連れてってやるよ」
村の外れに洞窟が有るそうだ。明日は探検だ。サトチーにいさんと一緒に。
すっかり暗くなった部屋でぼくとにいさんはふかふかのベッドにくるまっていた。外で寝ることもたくさんあったから、こういうのは嬉しい。
「ねえにいさん、サンチョさんって良い人だね。この村には、いつまでいるのかなあ?」
夜のご飯はすごかった。たくさんのごちそうがいっぱい。全部は食べきれないぐらいだった。サンチョさんはあれもこれもって、どんどんぼく達
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ