はじまった彼との(アイツとの)りあるおにごっこ
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熱い、熱い、熱い、熱い。
真っ赤に染まる空間。熱気により呼吸することさえ辛い空間。
その赤は炎。周囲を炎で囲まれた空間にいるのは一人の少女。
少女は声にならない悲鳴のような声で叫ぶ。
助けて
助けて
周囲に人が現れる気配はなく。炎はその歩みを進める。
助けて
助けて
少女の着ている服は真っ白だったはずのワンピース。それは以前のように清楚な雰囲気を感じられるようなものではなく汚れ、何かで痛々しいまでに真っ赤に染まっていた。
なんで誰も来てくれないの
悲鳴と共に頬を伝う涙。
どうして誰も来てくれないの
それは一つの雫となって落ち、彼女の足下に広がる赤い何かに小さな波紋を作る。
お願い、誰でもいいから
彼女はあ赤い何かの中心にいる人物の赤く染まった服を握りしめ
彼を助けて!!
「また、あの夢・・・」
閉じていた瞼を開けて私は呟く。少しだけ寝惚けた思考のままに周囲を見渡せば視界に入ってくるのはタキシード、ドレス、振り袖といった正装をした大人達。
「そうだ。私ってパパのパーティーに参加してたんだっけ?」
ここは東京湾に浮かぶ客船の上。そこで催されているのは父、デビット・バニングスバニングスが率いるバニングスグループが主催するパーティー。私は社会勉強ということでそれに参加している。
先程まで来賓の方々に挨拶をしていて、少し疲れたから椅子に座って休んでいた事を思い出す。
どうやらそのまま少し眠ってしまったのだろうと思考する。
肩に掛けられた肩掛けは鮫島が掛けてくれたのだろうと思い彼に感謝して父の姿を探す。
「・・・なんだか騒々しいわね」
その時に気付いたのは慌てた様子で互いに会話してはそこら辺を世話しなく動き回るバニングスグループの人間。私は首を傾げながら父を探し歩き回る。やっとの事で父を見つけたのだが父も父で忙しそうに鮫島と一緒になって指示を出していた。
「どうしたのからパパ」
冷静な父がこんなに慌てる様を私は初めて見た。何か重大なトラブルが起きたに違いない。そう思った私は父の邪魔にならないようにその場から立ち去ろうとしたのだが
「アリサ!丁度良かった。今呼びに行かせようとしたところだ」
父は私に向かって手招きをする。
何か重大なトラブルではなかったのだろうか? と更に首を傾げ、呼ばれるままに父の元へと向かう。
「なにかあったの? 皆慌ててるようだけど他のお客様も不思議
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