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至誠一貫
第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十八 〜洛外にて〜
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がこもっていた。
「今の朝廷に仕えるのを良し、としない名士も少なくはありません。ただし、皇甫嵩将軍や朱儁将軍のような方もおられますし、文官でも有能な人物はやはり多い筈です」
「洛陽の民ですが……。暮らし向きは決して楽、とは申しませぬ。飢饉にこそ見舞われてはいませんが、地方に比べていくらかマシ、という程度です」
「華やかさとは無縁、という事か。だが、権力者同士の争いは、やすやすと決着がつくまい?」
「何かきっかけがあれば別でしょうけどねー。ただ、どちらが勝っても、利があるのはごく一部だけですから」
「華琳や孫堅のような者達はどうなのだ?」
「何進殿が大将軍、という事もあり、地方の有力な太守はほぼ外戚派、と考えて間違いありませんね」
「今のところは、表立って宦官さん達に歯向かう姿勢を見せるような方はいないかと。陛下の信を受けているのですから、対応を誤ると朝敵と見なされますしねー」
「だが、疾風。何進一統に真から忠義を誓う、となるとどうなのだ?」
「はい。代わりとなる権力者が現れれば、掌返しをする者も少なくないかと。お会いいただければわかりますが、何皇后様はさしたる御仁ではありませぬ。何進殿も頑張ってはおられますが……」
「疾風は、大将軍と面識があると見たが?」
「はい。私も武官の端くれ、幾度かお声をかけて頂きました」
「ならば、どのような人物か、率直に申せ」
「わかりました。まず、御存知かも知れませぬが、何進殿は、何皇后様が陛下のご寵愛を賜ってより、庶人より召し出されました。腕力こそお持ちですが、剣の腕が優れている訳でもなく、また学もない御方です。なれど、人柄は誠実で、決して金品につられて権力を振るうような真似はなさいませぬ」
「その点、宦官とは違う……そういう事か?」
「はっ。陛下におかれましても、宦官では軍事を全て任せるに足る、とは思し召しではございませぬようで。その為、陛下の信も篤く、またご自身も懸命に努力をなさっておいでと聞き及んでいます」
 確かに、庶人の出でありながら、武官の最高峰とも言える大将軍を勤め上げている。
 才幹を求めるのは酷としても、並々ならぬ努力なしでは、皇帝が信任する筈もなかろう。
 それに、如何に外戚とは申せ、それだけでは人はついて来るとも思えぬ。
 となると、疾風の言葉通りの人物、そう見るべきだな。
「では、大将軍とは今のところ、良好な関係を築けるようにすべきだな。疾風、その時は頼りにさせて貰うぞ?」
「はっ」
「歳三様。十常侍は如何なさいますか?」
「……諸悪の根源、と申すのは容易いが、関わらぬに限るな。いずれにせよ、今上帝が健在な限り、と見ているが」
「お兄さん。何故、そのように思われるのでしょう?」
「衰えたとは申せ、漢王朝も今上帝も、まだまだ権威は残っていよう。だが、宦官共
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