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至誠一貫
第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十八 〜洛外にて〜
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ぐわう……?」
「ほへっ? ち、直球ですねー」
「歳三様と、孫策殿が……ああ」
 取り乱す疾風に、慌てているのかどうかもよくわからぬ風はともかくとして。
 稟が、このままでは危険だな。
「風、稟の小鼻を押さえておけ。疾風、そのまま稟を連れて野営の準備にかかれ」
 とにかく、気を逸らさねばなるまい。
「ぎ、御意。ほら稟、しっかり致せ」
「ではではお兄さん、また後ほどー」
 ……洛陽に、良き医者がいる事を願うしかないな。
「なかなか難儀だな、お前の家臣は」
 原因を作っておいて、本人に自覚がないのだから始末に置けぬ。
「孫堅。貴女、どういうつもり?」
 華琳が凄んでみせても、孫堅は平然としたままだ。
「どうもこうもない。土方であれば、孫家に血を入れるのに申し分ない、そう思ったまでだ」
「……孫堅。それは、孫策の意思か?」
「いや、俺の一存だ。だが、雪蓮もお前を気に入っていると見たがな」
「本人の意思も確かめぬのに、それは横暴というものだ。それに、私は色欲魔ではないぞ?」
 確かに今の私は美しき女子(おなご)に囲まれてはいるが、見境もなしに手を出すつもりはない。
「何なら、お前さえよければ、嫁にくれてやっても良いぞ?」
「ま、待ちなさい! 何故、歳三に何てこと吹き込む気?」
「何か可笑しい事を言ったか? これ程の男だ、我ら一族に入れる事は、理に適っていると思うがな?」
「そ、それは……そうかも知れないけど」
 しどろもどろの華琳。
 流石の曹孟徳も、男女の営みてなると、かなり初心というところか。
「俺では薹が立ち過ぎているが、雪蓮ならば申し分なかろう?……それとも、俺や祭のような年増が好みか?」
「い、いい加減になさい! この色欲魔!」
「はん、未だに男も知らぬ小娘風情が知った風な口を聞くな」
 ……うむむ、頭痛がして参った。
 ……本当にこの二人が、歴史に名を飾る、あの英傑なのか?
 暫し、二人の低次元な言い争いが続いた。


 その夜。
 食事を済ませ、天幕の中で皆と話す事とした。
「さて、洛陽と、朝廷の現状を聞いておきたいが。皆の知るところを、話してくれ」
「はい、では私から。疾風、風、補足は随時頼みますよ?」
 昼間の醜態を微塵も感じさせず、稟は落ち着いて話し始めた。
「承知した」
「了解ですよー」
「では。まず、今上帝は病を得ている、との事です。実権はかなり以前より、十常侍と呼ばれる宦官と、何皇后とその実兄、何進大将軍との間で争われている状態です」
「そして、陛下には弁皇子と協皇子、お二人のお世継ぎがいらっしゃいますねー」
「国政を壟断しているのは宦官ども。ですが、外戚の方々はその奪還のみを求めておいででした。恐らく、今もそれは変わらぬかと……」
 疾風の言葉には、実感
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