モグラの唄
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イツから守ってくれるんだって。
いつか鳥が言っていた。
風というものに吹かれてみたい。
空というものを飛んでみたい。
一度でいいんだ。
一度だけ。そしたら、やっぱりこっちが良いって思うんだ。きっと。
もしかしておいら、うらやましいのかな。
地上の奴らがうらやましいのかな。
そんなはずはない。
「お前なんか嫌いだ。」
気付けばアイツは見えなくなった。
こっちなんか見たくないと、白い何かに隠れていった。
アイツはおいらを見捨てたんだ。
助けてなんかくれないんだ。
それならおいらはもがいてやる。
ここからでようとあがいてやる。
固い、石のような地面を掘って、ほって、ほって、ほって、ほって。
深い穴を登って、のぼって、のぼって、のぼって、のぼって。
ちっともここから動いてなかった。
掘れてなんかなかったし、登れてなんかいなかった。
わかったのはその手のアツいこと。
痛い、痛い、痛い、痛い!
これで終わり。
ちっぽけなおいらの、ちっぽけな命。
そんなちっぽけなおいらのちっぽけな悪あがき。
全部終わった。
涙が溢れる。
この手の痛み、そんな事よりも心が痛む。
きっとアイツがうらやましかった。
大きなアイツがうらやましかった。
眩しくて明るくて、とてもじゃないけどカナわなかった。
アイツも泣くことがあるのかな。
なんだか空が暗くなってきた。
零れてくるのはアイツの涙?
涙がおいらを濡らしていくよ。
おいらはもう、動けない。
動けないおいらを濡らしていくよ。
なんだか心地よく感じるよ。
ホントはおいら、知ってるよ。
これは雨っていうんだよな。
別においらのために泣いてくれてるんじゃないんだって。
そんなことは知ってるんだよ。
別においらのために泣いて欲しいだなんて思ってなんかいないんだよ。
最後に。ああ、最後にお前の姿が見たかったな。
おいらの事を見て欲しかったな。
でもわかった気がするんだ。
声がした気がするんだ。
遠い、遠い、お前の声が。
高い、高い、お前の声が。
「助けてあげられなくてごめんね。」
おいらが嫌いだった、お前の涙。
雨がおいらを濡らしていくよ。
動けないおいらは歌っているよ。
動かないおいらは歌いながら、
きっとお前の所に行くよ。
そしてこの歌を届
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