暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第39話 一番見たくない顔
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を反射的に見てしまったのだ。

「………!」

 それは、今一番見たくない顔だった。迷いの森でパーティとケンカ別れする原因となった槍使いだ。
顔を伏せ、無言で宿に入ろうとしたのだが。

「あら? シリカじゃない」

 その女のプレイヤーは、『如何にも今気づきました』と言わんばかりに、言っていた。
 おそらくそれは絶対にわざとだとシリカには判っている。

「どーも……。」

シリカの表情は暗い。

「へぇー、森から脱出できたんだ? よかったわね」

 その真っ赤中身を派手にカールさせた、名は……確かロザリアと言っただろうか? 他のメンバーが名を呼んでいたから、キリトとリュウキも判った。
 ロザリアは、口の端を歪めるように笑うと言う。

「でも、今更帰ってきたところでもう遅いわよ。アイテムの分配は終わっちゃったからね」
「私は要らない、って言ったはずです! ―――もう、急ぎますから」

 シリカは、会話を早々に切り上げたかったのだが……。ロザリアの方は簡単に解放するつもりは無いようだ。

「あら? あのトカゲ、どうしちゃったの?」

 その言葉が何よりも嫌だった様だ。使い魔は、アイテム欄に格納する事も、どこかに預ける事も出来ない。居なくなったのなら……もうその理由は1つしかないのだ。
 そんな理由は、ロザリアも当然知っているはずなのだ。だけど……薄い笑いを浮かべながらわざとらしく言葉を続けた。

「あらら〜 もしかしてぇ……?」

 そこから先は言わせない。言われる前にシリカは、答える。

「ピナは死にました……。でも!」

 キッ!とロザリアの事を睨みつけると。

「ピナは絶対に生き返らせます!」

 そう宣言する。そして次に如何にも『痛快です』と言わんばかりに笑っていたロザリアの目が僅かに見開かれた。そして小さく口笛を吹く。

「へぇ……ってことは、《思い出の丘》に行く気なんだ。……でも あんたのレベルで攻略できるの?」
「できるさ」

 そこから先の言葉はキリトが紡いだ。もう見てられなくなり、シリカを庇うようにコートの陰に隠す。

「そんなに難易度が高いダンジョンじゃない」

 ロザリアはあからさまに値踏む視線でキリトを、そしてリュウキを眺め回し、赤い唇を再びあざけるような笑いを浮かべてた。

「へぇ……、あんたらも 沢山の男共と同じく、その子にたらしこまれた口? ん〜〜、見たトコ、そんなに強そうじゃないけど」

 羞恥を受けたシリカは、思わず顔を真っ赤にさせた。ロザリアのそれは、あからさまな挑発だ。そして、それに答えたのはシリカではない、そしてキリトでもなく。

「まぁ、……安い挑発しかできないアンタよりは腕が立つよ。その男は。勿論、オレもだが
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