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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『祭』 午前〜正午
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まったのかと思いキョロキョロと辺りを見渡すと、私の左隣りにいつの間に来たのか上杉さんが立って肉じゃがを自分のお皿に盛っているところでした。いえ、それは別に驚くところ……私の取ろうとしていた菜箸を目にもとまらぬスピードで横から取っていったのは驚きですがそうじゃなく、上杉さんの持つ小皿には肉じゃがが山と盛られています。もうどっちが元のお皿か分からない位盛る、盛る、盛る。そして崩れるか崩れないかの絶妙なバランスを保った山を築き上げると上杉さんは満足そうに頷いて菜箸を私に渡してくれました。

「あ、あの……上杉さん?」

「モキュモキュモキュ……モキュ?」

私の戸惑いの声に既に肉じゃがに手を付けていた上杉さんは『食べないの?』と言った風に顔を向けてきます。両方の頬をふくらまして口を動かしている様はまるでリスみたいで可愛いのですが、大皿の上は3分の1くらいがごっそり減りました。まさか料理部が忙しくしてる理由って……

「ムグムグムグ……」

「な、何でもありません」

「ゴクリ……そう」

 私が何も用事が無いのを確認すると上杉さんは口の中の物を飲み込んで次を口に入れ始めます。

「おーい、カルラ。そろそろ次行こうぜ」

「は、はい」

 クロエは一通り食べて満足したのかすぐに戻ってきました。私は、何か上杉さんの食べっぷりを見ただけでお腹いっぱいになってしまって何も食べませんでした。ちょっともったいなかったかな。
 次にクロエが希望したのは新聞部のバックナンバーの展示でした。ちょっと意外でしたけどIS学園の過去の内容を知るには一番いいかもしれませんね。

「じゃあ私適当に周るよ。終わったら声かけるからさ」

 クロエはそう言って近場のバックナンバーをあさり始めました。
 私は先日見せてもらったばかりなので特に目新しいものも無く、背中を壁に預けて部屋の中を見渡します。新聞部の展示会場に入ると結構大人の人がいました。生徒のご家族とかもいるようですけど、ほぼ全ての人が胸の位置にIS企業関連の名札を付けている辺りやはりここはそういう関係の人が多いみたいです。
 一通り見渡して、なぜか私の方に向いている顔を見つけました。

「あら、カスト候補生」

「う……お、トルスタヤ代表?」

夏休みに『保護』してもらったロシア空母にいた人物。ラリサ・アレクサンドロヴナ・トルスタヤ国家代表。左胸にはロシアの『ヴィクトム社』の代表という名札が刺されていて、プラチナブロンドの髪が黒いスーツによく映えています。空母の中での記憶から私は少しだけ身構えてしまう。

「ラリサで構いません。お久しぶり、と言うほどでもありませんね。腕の具合はいかがです?」

「お、おかげさまでもう大丈夫です」

 私は綺麗に傷口の消えた右腕を
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