第一物語・後半-日来独立編-
第四十五章 火炎の鳥《1》
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元へと加速機を噴かし行った。
落ちるなかで入直は、下に見える火炎ノ緋翼へと手を伸ばした。
「届け――!」
一刻も早く、火炎ノ緋翼の元へ行くために。
相手が迫って来ている。
落下の速度があるとはいえ、どう考えても相手の方が早い。
相手は騎神なのだから。
入直は戦闘に使えるような系術は持っていない。だからこうして、ただ手を伸ばすことしか出来無い。
だが、信じていた。
伸ばしたこの手を、火炎ノ緋翼は掴んでくれると。
『大人しくしていろ――――!』
流魔刀を構えながら、そのまま戦竜は向かう。
狙いは敵の騎神の腹部。
二撃を与えた場所だ。
騎神が動かなくなれば、この戦闘はこちらの勝ちだ。
操縦者を狙わなくて済む。
まず黄森にバレないようにするためにも、役目はきちんと果たす。
だが、辰ノ大花を苦しませたこと、長を追い詰めたことの代償は取ってもらう。
辰ノ大花の皆が皆、長の救出を諦めたと思うなよ。
彼らは、竜の逆燐に触れたのだ。
『おおお――――!』
距離は間も無く閉じる。
数字にして一桁に入った。
いける、と確かに思った。
が、
『何っ!?』
目の前の騎神が、消えた。
いや、上へと移動したのだ。
二撃を与え、動きは停止した筈なのに。
そしてあることが、脳裏に過った。
『しまった、上には操縦者が!』
見上げた頃には遅かった。
赤の騎神の左手には、操縦者が立って乗っていた。
しかも、それを見て驚いた。
『なっ!? 傷が塞がっている、だと。切った筈の腕まで……一体何をしたっていうんだ』
目に映ったのは、流魔刀によって負わせた二撃の傷と、同じく流魔刀によって切断した左腕が、元に戻っていた。
赤い、流魔によって。
自己再生能力を身に付けたとでも言うのか。冗談ではない。
まずあれは騎神、機械だ。
系術や加護でならまだしも、流魔によって機械が、それも自ら手当てをするなど聞いたことがない。
あれは騎神の姿をした機械人形ではないのかと、そう思う。
機械人形ならば人工知能があり、学習、経験を行う。
それを蓄積し、応用しようとする。
まさか、人工知能を騎神に組み込んだのか!?
兵器目的で造ったわけではないのであれば、その可能性は十分に考えられる。
だが、人工知能は簡単に作れるものではない。
幾ら日来でも、それは無理だろう。
もし作れたとして、組み込んで一体なんの得があるというのか。
人工知能は人類でいう脳であり、必然的に感情を得ることにも繋がる。
人工知能を組み込んで、性格に支障があった場合はどう対処するというのか。
分からなかった。
自分の知恵では、あの騎神を分析するには到底無理がある。
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