第一物語・後半-日来独立編-
第四十五章 火炎の鳥《1》
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る。自分に向かって。
『落ち着いて! まだだよ、荒いけどまだアイカメラは作動してる。緋翼は倒れてない!』
別に表示した、火炎ノ緋翼に設置したアイカメラが捕らえたものを映像として流す映画面|《モニター》を継叉は見てから、入直にそう伝える。
が、当の入直は継叉の声を聞こうとはしない。
「くそっ! 腹部に二撃、傷は深い。動けるかだうかだね……。無理矢理にでも回路を繋いだ方がいいのか、それともこのままか? いや、だけどこのままだと……」
『ちょっと聞いてる!?』
「最悪、炎熱火砲のトリガーさえ引ければ。その場合は加速機の問題だが、動いてくれれば」
『ごちゃごちゃ言ってねえで……話し聞けええええええ!!』
「――っ!?」
思考を吹き飛ばすように、映画面から聞こえた低い男性の声。
増田が放った声が、動く入直の思考を止めた。
ったく、と苛立ったような声を出し、
『緋翼はやられてねえって言ってんだろうがよ。何時の間にか耳悪くなったのか、お前は』
「悪くなってないさ。だけど、緋翼との繋がりが切れた。微弱にあった緋翼の意思が感じれなくなったんだ」
先程まではあった、火炎ノ緋翼と自分を繋ぐものが。
一心同体だったのが、流魔刀による二撃を火炎ノ緋翼が食らった時に途切れた。
今まで感じていたものが、その瞬間にぷつりと切れたのだ。
これを聞いて、映画面に映る増田はため息を一つ。
落胆の意味が込もったものではなく、自分を落ち着かせるものだ。
横にいるジューセンの肩にまだ腕を巻きながら、空を落ちていく入直に向かって言う。
『たったそれだけのもんで動揺してんじゃねえよ。お前はあれか? 親に見捨てられてかわいそうな自分を、緋翼は選んでくれたから甘えてんのか? だから繋がりが切れた途端にそうやって動揺すんのか? ああ?』
「何言って――」
言葉を言い終える前に、
『ふざけんじゃねえぞ! お子様ごっこなら他所でやれ! 日来にはお前みたいな奴は幾らでもいんだよ。だから日来の奴らは優しくなって、そういう奴らを受け入れるんだ! 亡くなったわけでもねえのに動揺なんざしてんじゃねえ。緋翼は自分の家族だって思ってるなら、何時までもそうやって呑気に離れた場所で、落ちてるんじゃねえよ』
顎を前に一回、突き上げるように動かす。
『緋翼にも意思があるなら、繋がりを自身で切ることも出来るだろうが』
そんなことも分からないのかと、そう言うことだろう。
何時も感じていたものが無くなっただけだ。消えたわけじゃない。
勝つこと焦り過ぎて、そんなことも考えられなくなってしまったのか。
まだまだ未熟だ。
「……そうだったね」
『勢い任せなのはお前の悪いところだが、まあ、なんだ。物事はよくも悪くも勝ったもん勝ちだ。さっさと勝って、帰ってこ
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