暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第7話 音楽妖精の少女
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をゆっくりと開くと、柔らかく微笑んだ。

「ありがとうございました」

 そう言って、頭を下げる。
 周りの人だかり──彼女の美声を聴きに飛んできた妖精たちが「いいぞ、マリアー!」「もっと唄ってー!」と声を上げた。
 少女──マリアは、少し困った顔をしながら返事をする。

「ありがとうございます。けど、今日はここまで。また明日、お会いしましょう」

 少しも不満を言う者はおらず、みな「楽しみにしてるよー」と手を振って去っていった。

「マリア、今日もよかったわね! いつか、一緒に演奏会開きましょうよ」
「ありがとう、ユキノ。私でよければ、是非、喜んで」

 仲よしの少女・ユキノに微笑みかけると、ユキノは満足そうに「また明日!」と言って空高く飛翔していった。
 ──プーカを選んで、本当によかった。
 マリア──(さくら)まりあは、アインクラッド高等部1年生。
 音楽、特に唄うことが大好きだが──才能があるかと言われると、正直なところ、ない。音楽の成績はいつもFをつけられるし、普段人前で唄う時も、緊張して声なんて出ない。
 まりあは学園内ではかなりの美人で、割と人気があるタイプだ──レイピアの名手、結城明日奈には遠く及ばないけれど。
 そんな理由もあり、アルヴヘイムに初めて来た時、?桜まりあ?の容姿を変えなかった。
 種族に?音楽妖精?があることについては、非常に胸が高鳴った。プーカの少女マリアは、まりあとは違って、楽器演奏も歌唱力も優れている。プーカがそういう種族なため、反映されたのだ。その上この外見なので、男性だっていくらでも寄ってくる。
 ──たとえ偽物でもいい。
 誰かが自分の歌声を聴いて、感動し、涙してくれるならば、偽物の歌声だって──。
 マリアは口元に笑みを綻ばせ、アルヴヘイムから離脱した。



 
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