第二部 文化祭
第7話 音楽妖精の少女
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明日奈が降り立ったのは、ウンディーネの王都。
建ち並ぶ店のショーウィンドウを覗き込むと、あまり見慣れない少女が映り、こちらを見返してくる。容姿こそ普段の明日奈と変わらないが、栗色のはずのロングヘアーは、ウンディーネ特有の綺麗な水色になっているし、はしばみ色の瞳は澄み切った碧だ。
少しばかり違和感を覚えつつ歩き出すと、アスナ目がけて空から飛び込んでくる人影があった。
「わああああああぁぁぁぁぁ」
「きゃっ!?」
アスナは閃光の如く飛びすさると、寸前までアスナが立っていた場所に、人型の穴があいていた。
*
ついにどこぞの街へたどり着いたようだが、上手く着地できず、俺は地面にめり込んだ。
「うっ……」
呻きながら、あけてしまった穴から顔を出す。
水色の髪の少女が、こちらを覗き込んでいた。その容姿は、俺のよく知っているものだった。
少女は訝しげな表情で、「大丈夫ですか?」と首を傾げた。
「だ、大丈夫です……たぶん」
「えっ、その声はもしかして……キリト君?」
水色の髪の少女改めアスナが、驚いた様子でこちらを見返す。
「顔変わってたから、わかんなかったよー……やっぱり、スプリガン選んだんだね。君のイメージカラーだもんね」
「はは……ところで、見えてますよ」
「え?」
俺の言葉に、アスナは慌ててスカートをおさえると、小さな拳を俺の顔面に向かって──
「バカ──!!」
「うわ!?」
俺は慌てて穴を出ると、そばにあった樹の陰に隠れた。
「とっ、ところでアスナ! き、君の異世界ネームは? ?アスナ?!? ?閃光様?!?」
?閃光?はお馴染みアスナの異名。超絶美人兼常時成績トップ人な彼女には熱烈なファンも多く(俺はその人達になんか嫌われてるらしい)、その人達はアスナのことを?閃光様?と呼んでいるらしい。
アスナが俺を睨む。どの程度かって?美人が台無しになる程度。
アスナは震える手で腰に吊った細剣を抜こうとして、ぴたり、とその動きを止めた。
「……アスナだけど。そういう君はなに? ?黒ずくめ(ブラッキー)?? それとも、?和人様?かしら」
──うわ、仕返ししてきたよ……。
てか俺を?和人様?呼ばわりしてくれるようなファンなんて存在しないよ、たぶん。
「……キリトです」
ぼそっと呟いた。
***
「Uh──..Ah──...」
プーカ領の上空にある、空中ステージ。そこに立ち、唄う少女が1人──いや1匹。その周りには大きな人だかりができている。
風に揺れる髪は美しいアイボリーで、背中から伸びる翅は、少女が音楽妖精プーカであることを示している。
少女は唄い終え、オレンジ色の大きな瞳
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