襲来
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一夏と鈴音の対抗戦が決定してから数週間、月も変わり現在五月。
響はいつもの屋上でため息をついていた、原因は響の隣にある。
「ちょっと!聞いてんの!?響!!」
横からキンキンとした声を上げているのは、鈴音だった。何故彼女がこんなところにいるかというと、
「一夏と顔を合わせたくないから」
らしい。
どうやら先日の一件からまだ仲違い中らしい、だが響からしてみればいい迷惑である。貴重な昼休みを愚痴に使われ、溜息をつきたくなるのも頷ける。
「つーか、私に愚痴ってる暇があんならさっさと一夏のところにでも行ってくりゃあいいんじゃねーの?」
早くこの愚痴の嵐から解放されたい響が提案すると、
「嫌!! それに行ったところでどうせ思い出さないだろうし」
「お前が酢豚作ってそれを一夏に食わせてやるって約束か?」
「あ、アンタ一体何処でそれを!?」
鈴音の顔が驚愕で染まると同時に、一気に赤くなった。まぁ昔の約束をあかの他人である響に言われれば驚くのもしょうがないだろう。
「一夏から直接聞いた、あいつは勘違いしてたみたいだけど本当はそれでいいんだろ?」
「……う、うん」
響は再度溜息をついた。今度は鈴音に対してではなく、一夏に対してだ。響は内心彼の朴念仁ぶりに苛立ちを募らせていた。
……アイツが普通に理解してれば私がコイツの愚痴に付き合わされることもなかったってのに。
「……一回ぶん殴ってやろうか……」
「え? なんか言った?」
「いーや、なにも。つーかお前ほっぺにパンくずついてんぞ」
「どこ?」
鈴音が左の頬を触ったところで、響が口を出す。
「逆だ逆」
痺れを切らした響が鈴音の顔を自分の方に向かせ、パンくずを取ろうとしたところで、響は自分達の隣に妙な気配を感じたのでそちらを見ると、
「……」
目に光を宿していないセシリアがどす黒いオーラを放ちながら二人を見つめていた。
「よ、ようセシリア。……どした?」
若干声を上ずらせながら響が問うと、セシリアは幽鬼のようにゆらりと響を一瞥し小さく告げた。
「……なにをやっているんですの?お二人とも……ウフフフ……」
「あーっと……私用事思い出したから先に戻るわー……」
鈴音は恐ろしくなったのか、そそくさとその場から立ち去っていった。一方残された響はというとその後もセシリアに詰め寄られ、げんなりとしていた。
「たくっ……セシリアはなに考えてんだか……」
あのあとセシリアに昼休みが終わるまで問い詰められ、気力を削られたせいで5限6限はサボることとなった。幸い今日は千冬の授業ではなかったので補修などという面倒くさいことはな
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