Episode2 二人
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顔は垂れ気味の目元に幾つもシワが刻まれ、いかにも優しいおじいさんといった印象だ。司祭服に身を包んだその神父にシスイからもらった《免罪符》を差し出す。
「おやおやぁ、これは…。また懐かしいものをお持ちになりましたね」
「これ、ここで使えます…よね?」
「えぇ、もちろんですよ。これは私の父の代に発行したものですが…いやはや、まだ残っていたとは……。では、貴方はここに罪を雪ぎに来たのですね?」
そこで一つ咳ばらいをして居住まいを正した神父は祭壇に燭台を置くと胸の前で手を組んだ。俺が無言で頷くと神父の言葉が続けられる。
「では…。貴方は今、自分の行った罪を悔いていますか?悔いていればその行為をここで私に告白してください」
……と言われましても、と思った。悔いているというより不可抗力で…。そう考えてから一つ長く息を吐いた。多分ここで「俺悪くないし」と言ったとしてそれでカーソルが戻るとも思えない。大人しく神父の誘導に乗っておくべきだ。考え直した俺は膝を付き俯き加減に告白を始めた。
「えっと、あの…俺、じゃない。私は剣で人を傷付けました」
「なるほど、そうでしたか。…分かりました。貴方の罪、このファージが確かに聞き届けましたよ。その背に背負いし罪、さぞ辛かったでしょう」
俺に歩み寄り、しゃがんだ神父と俯いていたのを上げた俺の視線が交差した。薄暗い中でもファージという神父の瞳には慈しみの色が容易に見て取れた。
ファージ神父の手が肩に触れ、驚いたことにその途端身体が軽くなったように感じた。やはり、本当は何もしていなくてもオレンジのカーソルは堪えていたのだろうか。
「それでは貴方の罪、その《形》も私が預かり受けましょう。…もう夜も遅い、街に戻ってゆっくりお休みなさい」
少ししんみりとして再び俯いていた俺にそう声をかけた神父は、俺が顔を上げたときにはすでに教会の奥隅にある扉へ姿を消すところだった。
緊張で張り詰めていた身体が脱力し、へなへなと力無くアカリの方を振り返った。
「じゃあ終わったから、ご飯行こっか」
「え、えっと、はい!あの、その…」
なんだか微妙な返事のアカリに近付き頭を撫でてやるとその手をアカリが取った。そして一歩下がると苦しくない角度で俺を見上げ、少し残念そうな表情で俺に言った。
「あのおじいちゃん、サンタさんじゃなかったですね。…だって、カイトさんの剣持って行っちゃいましたもんね……」
「………はい?」
反射的に背に手を伸ばすと、いつもなら剣のグリップを掴む手が空を切った。……つまり、ファージ神父の言った《形》とは犯罪を犯した《剣》を預かる、ということだったらしい。
こうしてカイトはソロでなくなったことと引き替えのように主装備を失った。つい
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