一周年記念コラボ
Cross story The end of world...
終わりの世界、異端者は邂逅せり
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らない。分からないがしかし、唯一分かるのは、ここが絶対に普通の場所ではないこと。
こんな大きな交差点のど真ん中に寝そべっていて、一台も車が通らないと言うのは、もはや異常を通り越して不気味だ。周りが十分に見えることから、真夜中という訳でもないだろうし。
てっぺんが霞むほどに高くそびえるビルのような建築物が見えた。その表面は塗装が所々剥がれ落ちてボロボロで、剥き出しのコンクリートにはあちこちデカいヒビが走っている。
「ここは…、いったい…………。どこ?」
口から漏れ出る意味を汲み取れない単語達。しかし、当然ながらその疑問に答える声などいるわけがない。
たが声はなくとも、少なくとも答えるものはいた。
突如、一陣の旋風が吹き抜け、遠くを見ることを阻害していた霧を切り裂いた。どす黒く白く濁った闇が晴れ、一気に視界がクリアになる。世界が広がり、見えなかった景色をようやく拝めることができた。
しかし、目を凝らした蓮の視界に飛び込んできたものは、到底信じられないものだった。
灰色に濁った空、眼前にそびえ立つ長い年月を感じさせるビル群。だがそこではない。蓮が驚いたのはもっと向こう。切り裂かれてもまだ霞んで見える遥か彼方にひときわ高く見える、見慣れた赤と白のコントラスト。
すなわち、旧東京タワー。
空を見上げたら、いつでもそこにあったそれは何故だかひどく歪んで見えた。いや、実際に歪んでいるのだ。
「うそ…………だ」
あちこちの鉄骨が歪み、展望台もガラスが全て跡形もなく割れている。おまけに天辺の方はへし折れてしまっている。むしろ、今まで立っていたのが奇跡みたいなものだ。
それが立っていると言うことはつまり、半自動的に今現在自分がたっている場所の地名も浮かんでくる。
つまり日本の首都、東京である。
約千三百万人が蠢く大都会は今や、鉄屑とコンクリートが散乱する荒れ果てた魔都に変貌していた。
そして、東京だとわかったら、おのずと今自分がいる地点について解ってきた。
ここは恐らく、もし蓮の予想と合っているのなら、東京中央区にある銀座の交差点のど真ん中。俗に言ったら、歩行者天国だ。
通常では、数えるのもアホらしくなるくらいに人がごった返しているそこには、当然ながら人っこ一人いない。
は、はは、と乾いた笑みが口許に浮かぶ。
鏡に吸い込まれて気が付いたら荒廃した日本にいました、なんて。そんな王道すぎるSF、今じゃそうそう見れない。
もう少しくらい細かい設定があってもいいのに。何そのファンタジーめいた入場の仕方は。
ぐちゃぐちゃの頭のなかで、混乱した思考が的を外れたコントを送ってくる。
そして同時に、正常で少しは冷静な思考が警告を送ってくる。
こんなもっともらしい場所で、アレが
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