一周年記念コラボ
Cross story The end of world...
終わりのプロローグ
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持っていない。故に詩乃に本を触らせてもお約束の展開にはならないのだ。
確か予備のガムテープは一階のリビングにあったはずと下に降りようとして、足を止める。
「あんな鏡、あったか?」
階段が90°折れ、小さな踊り場になっている場所に存在する大きな鏡。
少なくともさっき見たときは無かった筈だ。
「……………」
しばらく黙考した末に出した結論は、
(放置だな……)
いかにもな鏡だ。SFなど信じてはいないが、だからと言って興味を持つ事はない。
ガムテープを持って部屋に帰って万事オッケー。
目的のものはすぐに見つかり、手でそれを弄びながら再び階段を上がっていく。すると、鏡の前にはそれを眺める詩乃。
「あ、燐。あった?」
「ああ。これだけあれば充分だろ」
手に持つそれを掲げて見せると詩乃は小さく頷き、思い出したようにまた横を向いた。
「燐、この鏡は?」
「いや、知らないな。どうして?」
「私がさっき来たときは無かったような……」
「……………」
いよいよ本格的に怪しい。何かの間違いで触れようものなら本気で異世界に飛ばされかねない。
―――しかし、奇しくも『刻』は午後6時。逢魔が刻と『異端者』の因果はただ注意深いだけでは抜け出せない。
―――鏡が禍々しく光始める。
「―――っ!?詩乃、逃げろ!!」
「え………?――きゃあ!?」
階段を2段飛ばしで駆け上がり、詩乃と鏡の間に割り込む。途端に引力が生じ、2人は鏡へ引き寄せられていった。
(まずい……!!)
心の中で詩乃に謝り、精一杯足を踏ん張って突き飛ばす。
「燐……!!」
何とか鏡の引力から抜け出せたらしい詩乃の気配が遠ざかって行くのを感じ、燐は一度意識を失った。
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誰かが自分を呼んでいるような、そんな気がした。
のんびりと夕暮れを知らせるカラスの声と共に小日向蓮は、容赦なく自分をベッドインさせようとする睡魔から必死に抗いながら眼を覚ました。昼寝をしようと寝たら、思いの外寝てしまったようだ。
見知らぬ天井、とかカッコいい台詞を脳裏で閃かせたいが、生憎瞳に写るのはボロい木製の天井である。ついでに言っておくと、鼻孔に入ってくる香りも消毒された病室のアレとかではなくて、普通にカビ臭くってホコリっぽい、いつものアパートの臭いだった。
───静かだな。
ふとそう思った。いや、気付いたというほうが正しいか。
いつものアパートの騒々しさが嘘のように静まり返っている。隣人の赤坂龍之介は、トイレ
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