第二十五話 前哨戦
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一番最初にベルリンに辿り着けるのは新造艦であるラー・カイラムの筈だった。距離、速度、ルートの三つにおいてミネルバやアークエンジェルよりも近い位置にいたのだ。実際、何も起こらなければ一番最初に着くことが出来たのだろう。何も起きなければ―――
「くうゥッ!?被害状況を知らせろ!」
イタリア方面を移動中、突如敵の攻撃を受けた。ミサイル群とビームによる一斉射撃とMS部隊の登場。その数は二十機以上。しかもその内の二機は明らかに毛色が違う。
「ミサイルは殆ど撃墜。ビームに関しては直撃を貰いましたが幸い損害は軽微です。艦の装甲の厚さに救われましたね」
ラー・カイラムは新造艦だけあって装甲の硬さも一級品のようだ。完全な不意打ちを食らったが、すぐさま立て直すことに成功する。流石にこの艦の性能に不信感を懐いていたグラスゴーもこの艦の防御力の高さに感嘆する。
「MSは発進可能か?」
「既に二機は出撃準備が整っているとのことです。もう一機もじきに発進準備が整うと」
「他にまだMSはあっただろう?それはどうなっているんだ?」
「MSがあってもパイロットがいませんよ。それに調整も済んでないので、どちらにしても出撃は難しいかと」
二十機以上の相手に二機とは心細いが、艦の性能と同じようにMSの性能を信じるしかないと判断する。本来なら一騎当千などというような賭けは嫌いなのだが、状況が許さない。
「発進準備急げ!敵を近づけさせるなよ!」
イギリスの町を戦闘に巻き込むことになることを遺憾に思いながらも敵MSが接近してくる為、戦闘じゅんびを整える。ジェットストライカーを装備したウィンダムの部隊、ドッペルホルンを装備し、VTOLで運ばれている少数のダガーL部隊、緑と赤を基調にした砲撃系と思われるMS、黒を基調としたストライク系列と思われる機体。
数だけでなく、どうやら敵は精鋭のMSも用意しているようだ。
『ま、止む無しってことですね。発進しますよ?』
「チッ、いいからさっさと出ろ!」
『了解、っと』
おどけた調子で言ってくるクラウに益々苛立ちを募らせるグラスゴー。彼に小馬鹿にされているのは明らかだが状況が状況なので文句を言う暇もない。
『クラウ、艦長を馬鹿にするようなその発言は止めろ』
『そんな心算はないんですけどね?』
出撃するもう一人のパイロットであるアレック・ラッドがいさめる様にそう言ってくる。
『そうだよ、真に美しい存在はそういった細かいことに気をかけてはいけないものだぞ』
下手すれば余計に怒りを買いそうな忠告を同じくパイロットの一人、ルドルフ・ヴィトゲンシュタインもしてくる。
『お二人のその考えは素晴らしいですけど迷惑なんで、こっちに押し付けないでくださいね』
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