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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十九話 末路
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た。彼らの顔には地球教に対する恐怖心が有ったよ。これまでは妙な教団だとは思っていただろうが恐ろしさは感じていなかった筈だ。騙されたという怒りも有るだろう」

「私自身、連中には怒りと恐怖を感じている。あのまま憂国騎士団との関係を維持していればどうなっていたか……。寒気がするよ」
トリューニヒトの顔にはまぎれも無く嫌悪と憎悪の色が有った。ホアンに視線を向けると彼は何とも言えない様な表情をしている。執務室に重苦しい空気が落ちた。ちょっとの間をおいてホアンが咳払いをして話しかけた。

「……アイランズは如何したのかな? 随分と遅いが」
「いや、彼は国防委員会に戻ったよ、屋上からヘリでね」
「……」
「どうも気になる事が有るらしい。教団からの押収物に不審なものがあったようだな、確認したのだがもう少し待ってくれと言われた……」
もう少し待ってくれと言われた? 妙な話だ、一体何を見つけたのか……。トリューニヒトが困惑した様な表情を浮かべていた。



帝国暦 489年 6月 13日  オーディン   広域捜査局第六課   アントン・フェルナー



「反乱軍でも地球教に対して捜査が始まったか」
『そうだね、向こうでも大分激しく抵抗したらしい。百人以上の信徒が死んだようだ。とんでもない連中だよ』
とんでもない連中だ、広域捜査局、憲兵隊も約三十人が犠牲になった。負傷者はその倍以上だ。強制捜査とは言っているが実態は市街戦以外の何物でも無かった。

『だがこれで同盟も同盟市民も地球教が危険だと認識した。同盟政府は地球教に対して活動の停止と教団の解散を命じたよ』
「これで地球教は帝国でも同盟でも非合法の組織となったわけだ」
スクリーンに映るエーリッヒが頷いた。そして微かに微笑む。

『どうやらルビンスキーに上手くしてやられたようだね』
「ルビンスキー? どういうことだ?」
今度は声を上げてエーリッヒが笑った。
『帝国、同盟の両国で地球教団は弾圧された。そして本拠地の地球も攻撃を受けようとしている。彼らは今後どうするかな?』

「大人しく解散すると言うことは無いな。地下に潜り反撃の機会を窺うだろう」
エーリッヒが頷いた。
『そうだろうね。先ずは地球に代わる新しい根拠地を必要とするはずだ。帝国も同盟も地球教団を敵と認識した。根拠地を構えるには不適当だろう、となれば……』
「フェザーンか……」
エーリッヒがまた頷いた。

「なるほど、フェザーンで騒乱を起こそうとしているルビンスキーにとっては格好の道具だな」
エーリッヒが微かに笑みを漏らした。何処か怖いと思わせるような笑みだ。何時の間にか権力者の笑みが似合うようになったな……。

『ルビンスキーは帝国が地球教を疑っていると察知した。フェザーンの背後に地球教が有
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