第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十六 〜洛陽へ〜
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しら?」
「…………」
「それで程立? どうなの?」
「寝ていた相手が、問いかけの内容を憶えているなんて、よく思いますねー?」
「貴女のは寝たふり、でしょう? その程度、わかるわよ」
「むー。それでは、本当に寝ていたらどうするのですか?」
「その時は初めから聞かないわよ。それで?」
「容赦ないお人ですねー。風は、お兄さんの傍にいると飽きませんし。それに、お兄さんが大好きですから」
「はっきり言うのね。私は、そんなに魅力がないのかしら?」
「曹操さんは、普通にお仕えするのなら申し分のない方でしょうねー。ただ、お兄さんと比較する自体、無理なのですよ」
「どういう事?」
「お兄さんは、風達を仲間、と言ってくれてますねー。曹操さんはどうですか?」
「仲間、ね。……私は、同じ事は言えないわ。勿論、私に従う以上、大切にはするけど」
「優劣をつける事ではないと思うのですよ。ただ、風も稟ちゃんも、他の皆も、お兄さんと一緒にいたいのです。だから、いくら誘っていただいても、心は動かないですねー」
「……そう。そこまで愛されるとは、歳三も果報者ね」
「そうかも知れぬ。なればこそ、私も微力を尽くす事にしている」
「微力、ねぇ。……本当、貴方には興味が尽きないわ。やはり洛陽までの道中、楽しみね」
「どういう意味だ?」
「決まってるじゃない。貴方という人物を、私がもっと知るために使わせなさい。否とは言わせないわよ?」
……それも十分、不穏当発言と受け取られかねないのだが。
「……曹操殿。それは、政略や軍略の話、という事でしょうね?」
「……殿。当然、わかっておられると思いまするが」
「……風は、お兄さんを信じているのですよ?」
見よ、三人とも不穏な……。
ほう、華琳の奴、ほくそ笑んでいるな。
そうか、あれは確信犯の笑み……という事か。
だが、やられる一方、というのは性分ではない。
「華琳。そんなに、私を知りたいか?」
「ええ。勿論」
「……そうか。ならば、男女の営みも、そこに含まれるのであろうな?」
「な……」
途端に、華琳の顔が真っ赤になる。
それを確かめながら、私は三人に目配せをする。
驚いていた皆も、どうやらそれに気づいたらしい。
「と思いましたが、曹操さんに未知の体験をしていただくのも良いかも知れませんねー」
「ふふ、知的好奇心を満たすのは、何も会話ばかりではありませんからね」
「…………」
疾風だけは、顔を赤くしているが……やむを得まい。
「あ、あ、貴方達ね!……あ」
耳まで真っ赤になりながら、顔を上げた華琳。
そこで、稟と風を見て、あっという顔つきになった。
「と、歳三! 謀ったわね!」
「何の事だ? わかるか、稟、風?」
「いえ、私には何の事だかさっぱり」
「風も
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