第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十六 〜洛陽へ〜
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貴女は?」
「私は、徐公明と申します」
「ふ〜ん」
値踏みするように、疾風を無遠慮に眺める華琳。
「関羽もなかなかの武人だったけど、貴女も相当の遣い手のようね?」
「些か、腕に覚えはあります」
「なかなか言うじゃない。歳三」
「何だ?」
「人を募る事には、私は誰にも負けない熱意があるつもりだけれど。何故、貴方の下には、こう見所のある人材が集まるの?」
「さて、な。全てが偶然、と言ったところで信じぬであろう?」
「ええ、そうね。もし、貴方がいなければ、きっと私の覇道を支えるに足る人材揃いですもの」
「……曹操殿。よもやとは思いますが、我が殿に害を及ぼすおつもりならば、この身を賭して、お相手仕りますぞ?」
疾風がそう言うと、稟と風も大きく頷いた。
「私も、そうなれば智の限りを尽くして、我が主を守らせていただきます」
「もちろん、風もですよー」
三人に睨まれた華琳は、ただ苦笑するばかり。
「そうね。歳三が私の下に来てくれれば、万事丸く収まるのだけど?」
「その話なら、何度されても無駄だ。私に命を預けてくれた仲間の意志を無にするような真似は出来ぬ」
「まぁ、いいわ。ただ、貴方が羨ましいのは事実だけどね。私のところは、手が足りない有様だもの」
私の知る曹操は、一族だけでも相当な人材が揃っていた筈。
だが、この時代ではどうした事か、夏侯惇・夏侯淵以外の将がおらぬようだ。
「歳三。洛陽までの道中、いろいろと聞かせて貰うわよ」
「ふっ、何を聞きたいと言うのだ? かの曹孟徳に語るほどの物を、私は持ちあわせておらぬが?」
「それが真実取るに足らない話かどうかは、私が判断してあげるわ。それとも、貴女が代わりになってくれるのかしら、郭嘉?」
「わ、私ですか?」
慌てる稟。
「そうよ。私は、見所のある人物と語るのが大好きなの。貴女は、歳三の軍師として立派に務めているし、その才も見せて貰ったわ。相手が歳三じゃなかったら、力づくでも私の下に置きたいぐらいよ」
「…………」
「勿論、貴女にその気があれば、いつでも歓迎するわよ?」
仕える本人の面前で、よくも堂々と口説けるものだな。
だが、そこに嫌らしさを感じさせないのは、流石というべきか。
「折角ですが、曹操殿。私は、今の処遇と立場に満足しています。ご期待に添える事はないかと」
「即答ね。それは、歳三を愛しているから?」
「……それも、否定はしません。ですが、私の才を思う存分発揮できるのは、歳三様の下だと。そう、確信しているからです」
「そう。程立も?」
「ぐー」
「寝るな!」
すかさず、疾風が起こした。
「おおぅ、ついついお兄さんの傍が心地良くて寝てしまいましたよー」
「……歳三。聞きようによっては、とても不穏当な発言だと思うのは、私だけなのか
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