第一部
第三章 〜洛陽篇〜
二十六 〜洛陽へ〜
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、他の主立った者が当たっていたようだ。
、公演以外では、一切表に出なかった事もまた、功を奏していた。
身の安全を図る為の措置であったようだが、それが幸いするとは、わからぬものだ。
「貴方のところには、優秀な細作がいたわね。その網にもかかっていないのかしら?」
「今のところは、な」
「そう。引き続き、行方を探らせるしかないわね。ところで、歳三。この後はどうするのかしら?」
「この後?」
「ええ。貴方が義勇軍を立ち上げ、戦ってきた黄巾党も、事実上これで壊滅したわ。勿論残党は残っているから、官軍との戦闘は各所で続くでしょうけどね」
今後、か。
まずは、北平に戻り、白蓮の兵を返さねばなるまい。
然る後、晋陽に向かう事になるであろう。
霞が率いている董卓軍の帰還もあるが、丁原から預かった印綬を、正式に朝廷に返上する必要がある。
此度の功に対して、何らかの報いがあるやも知れぬが、それが并州に関わる、とは限らぬ。
漢王朝の権威が未だ健在である以上、迂闊な真似は控えるべきだろう。
「貴方次第だけれど、一度、都へ行ってみない?」
「都……洛陽か?」
「そうよ。私も官軍として行動した以上、黄巾党との戦いを報告する義務があるわ。歳三、貴方の事もね」
華琳の言葉は、尤もだ。
勅令で討伐を命じられた黄巾党と、これまで我が軍は戦ってきた。
如何に義勇軍とは申せ、朝廷がそれに気づかぬ……というのはあり得ぬだろう。
「いずれ、貴方にも呼び出しがあるでしょう。それならば、最初から出向いた方がいいわ」
「私に、お偉方のご機嫌取りをしろ、と?」
「それもあるわ。だって貴方自身、何らかの地位を必要としているのでしょう? 麾下の者の為に」
私は、頷いた。
「けどね、歳三。私が都行きを勧める理由は、他にあるわ」
「ほう。聞かせて貰えるのであろうな?」
「だいたい、察しはついているのではなくて?」
ふっ、華琳相手には通じぬか。
「当て推量でしかないのだぞ?」
「構わないわ。別に、正解を求めている訳じゃないもの」
「では申そう。まず、私に都と、漢王朝の現状を見せるつもりなのであろう?」
「流石ね。まだ洛陽の、そして朝廷の有様を見ていないのでしょう? その眼で、しっかりと確かめるといいわ。それから?」
「私に、会わせたい人物がいるのではないか?」
「…………」
華琳は、答えない。
が、その眼は、私の答えが誤りでない事を物語っていた。
「もう一度聞くけど」
「何だ?」
「本当に、私に仕える気はないのかしら? 貴方程の人材、みすみす見逃すにはあまりにも惜しいわ」
「何度乞われても、答えは変わらぬ」
「そう。なら、力尽くで跪かせるしかないわね」
「その話は止せ。それよりも、都行きの件だが」
「ええ。どう
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