崑崙の章
第14話 「おはようございます、桃香様」
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ちてゆく。
改めて自分達の主が、いかに尊敬するべき人物か思い知ったようだ。
よしよし。
警備兵の引き締めもできたことだし、次の段階へと組織改革を行ってもよいかもしれぬ。
新しい警備計画……その根底たる建物については、現在極秘に建設中だ。
その為にも……今はこやつらの性根を鍛え、高い道徳心を育てておかねばな。
「よし。では見回りを始める。しっかりと見張り、狼藉者がいようものなら苛烈に取り締まれ! また、商人や市場にくる民には親切に振舞うように。不備や陳情があればすぐに報告せよ!」
「「「ハッ!」」」
さて、私も仕事を始めるとするか。
―― 関羽 side 漢中近郊 ――
「ふぁぁぁぁぁ……あふ……」
「やはり、まだ眠そうですね」
「あはは……ごめんね、愛紗ちゃん」
午後になり、南の開拓地へと向かう私と桃香様。
私に並んで騎乗しているその桃香様が、大きな欠伸をかみ殺しながら笑っておられる。
午前中は休まれたとはいえ、それも一刻(二時間)ほど。
昼前には既に起き出して、私が昼食をお持ちしたときには、また政務をしておられた。
まったく、此の方は……
「今日はしっかりお休みになってくださいね。夜間のお仕事は禁止です」
「え、ええー……ね、ねるよぅ。寝るから……寝る前に残った分をちょっとだけ……」
「だめです。今日の夜のお仕事は、明日に回します」
「うう……そんなこといいながら、どうせ愛紗ちゃんが無理して片付けようとするくせに」
「……ゴホン。そうお思いでしたら、きちんとお休みを取ってください。睡眠不足で間違った指示を出されても困ります」
私の言葉に、小さく項垂れながら「はーい……」と肩を落とす桃香様。
その姿は、なにやら愛らしい愛玩動物が「いぢめる?」と首をかしげているように錯覚させる。
(う……いや、我慢我慢……ここで甘やかしては以前と同じ! ここは無理にでも休んでいただかねば……)
ご主人様が旅立たれる時に、桃香様をサボらせないとは言ったが……まさかサボるように勧めるほど寝食を忘れて働くとは思っていなかった。
元々の能力が高い事もあり、文官三人分の執務をこなすほどになられていた。だが、それは寝食をせずに働いている結果であって、朱里や雛里のような人外とも呼べる政務能力があるわけではない。
その為、一度はお倒れになって三日ほど寝込んだこともある。
それ以来は、なるべく仕事をさせすぎないように押さえるのが、私の仕事だった。
(あの天然な桃香様がこうも勤勉になられるとは……ご主人様が不在の今、ご自身が頑張ろうと必死なのだ)
ご主人様が宛で自室に篭られる寸前、桃香様は盾二様のお部屋
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