崑崙の章
第14話 「おはようございます、桃香様」
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だった。
このたび梁州が設置された事により、巴中までの田園地帯が梁州預かりとなったことで、その不平等な穀物の買取方式が発覚した。
その不平等さの根源が、漢中にろくな市場がなく、取りまとめる商人もいない為と見抜いた朱里殿と雛里殿は流石だと思う。
その為、そこで生産される穀物の取引する場所が必要と言う事で、市場の設置を大急ぎで取りまとめた。
商人は宛から旧知の商人に渡りをつけ、とり急いで商品を揃え、代金として穀物を提供する。
漢中に元来よりいた文官の中には、以前のように穀物輸送の関税だけとればいいのではという者もかなりいたが、その大半が南の巴郡から何らかの賄賂を受け取っていることを調べ上げ、罷免することになった。
その調査を担当したのが、私こと馬正でもある。
私には、黄巾の頃や洛陽での武官時代の経験があった。
賄賂を出してこようとする商人や役人というものを、数多く見てきたのだ。
その為、そういうのを見分けるのが人一倍となり、雛里殿が抱える細作と連携して証拠を集め、時には武力を持って鎮圧した。
この一月で漢中の内部に巣食っていた不正文官は、ほぼ駆逐できたと思う。
大した才覚もなく、手ごわい人物もいなかったのが幸いだった。
もっとも、そういった人物は、我々が来る前に姿を消していたようだが……
「しかし、こちらに到着してから最初に行ったのが市場の建設とは……正直、私は軍師様たちの行う事がわかりませんでした」
「ああ、私もです。てっきり税や家戸の確認と、治水とか行うものかと……」
「ふっ……そんなものは、ここにつく前からあらかた調べ上げてある。我らの主たる盾二様が、何故漢中に来る前に数ヶ月自室に篭られたと思っておるのだ」
「北郷様が、ですか? まさか……」
「雛里殿が何故、あんなに大量に細作を率いていると思っておる。短期間にここまでできるのは、漢中、巴中、上庸、定軍山全域にわたり、詳細に調べ上げた故の成果だ。ここに到着する前にその対策の草案は、既に出来ていたのだ」
「おお!」
「なんと……」
兵たちが、互いを見合いながら感嘆とした声を上げる。
ふふ……その通り。
主は全て見越していたのだ。
「実質、この地についての状況の修正については、三日とかからなかったようだ。ただ、不正を行う官吏どもの応対に時間を掛けてしまったがな。その辺りはお主らも知っていよう」
「は……まさか不正を行う官吏どもが、あれほどいようとは……」
「それが今のこの国の実態よ。だが、それを変えようとしておられるのが主、北郷盾二殿……そして劉備玄徳様だ。お主らも、今一度気を引き締めよ。我らは素晴らしき主に仕えておるのだからな!」
「「「ハッ!」」」
警備兵たちの顔つきが、自信とやる気に満
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