崑崙の章
第14話 「おはようございます、桃香様」
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区、大手門の補修計画をお持ちしましたー!」
「地区ごとの陳情、計画書の場所は間違わないようにしてください! 配送者の選別は一昨日決めたとおりで!」
「やはりこの部屋は手狭すぎますな……」
「今、新しい執務室を建設しています。それまで我慢してください」
……ふぁー……
思わず呆けてしまったのだ。
人が入れ替わり立ち代りで発言して、一言で的確に決定して対応する朱里……
その小さい体に似合わない、威厳に満ちていたのだ。
「お待たせ、鈴々ちゃん! 報告?」
「あ、ごめんなのだ! 昨日の南地区のちあんほーこくしょと、裏路地の危なそうな場所をあげておいたのだ」
「ありがとう。南地区の住民の様子はどう?」
「思った以上に貧困者が多いのだ。仕事のないおっちゃんが裏路地で座り込んでいるのをよく見かけたのだ。あれは急いで仕事をあげたほうがいいのだ」
「わかった。午後には雛里ちゃんがくるから仕事の斡旋所の草案、急いでまとめるね。鈴々ちゃんは……今日は東地区の見回りと、兵の調練だよね?」
「午前中に見回って、午後から調練なのだ」
「なら、調練ついでに南の地形を把握してきて。これが地図。できれば水を汲めるような場所とかないかも、確認をお願いね」
「わかったのだ」
朱里の言葉は、仕事に関わるとかむ事がないのでわかりやすいのだ。
「あの、あの、すいませぇ〜ん。なかにいれてくださぁ〜ぃ……」
はにゃ?
入り口から弱々しい声。
雛里の声なのだ。
「そこの人ー! 後ろに雛里がいるのだ! 道をあけて通すのだ!」
鈴々が、入り口でごった返していた文官に怒鳴ると、ひぃっという悲鳴と共に、人の壁が割れる。
その隙間に挟まって泣きそうになっていた雛里が、ふらふらと入ってきたのだ。
「あぅ〜あぅ〜……た、助かりましたぁ……」
「雛里ちゃん!? お昼までお休みのはずだよ!?」
朱里が気付いて声を上げる。
雛里は、ふらふらとしながら手に何本かの竹簡を持っていたのだ。
「こ、この竹簡、大至急処理するやつだったから……これを処理したら寝るから」
「無理は絶対ダメだよ? 盾二様に言われたでしょ? どんなに仕事が詰まっていても、正常な判断が出来るように身体を回復させるのも仕事だって」
「う、うん……でも、これ最重要なやつ……割普請の担当配置書と、予算計画書。これないと、午後の北地区に人集められないでしょ?」
「うう〜ん……しょ、しょうがないけど、しょうがないけど……わかった。これ、私が見ておくから、すぐに休んできて!」
「う、うん。朱里ちゃん、ごめんね……」
「大丈夫! ちゃんと寝てこなきゃダメだよ! もう二日寝てないんだからね!」
ふ、二日……いつも夜を通して働いている二人だ
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