崑崙の章
第14話 「おはようございます、桃香様」
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れは代行できる愛紗ちゃんがいたからこそ。
でも、あの二人の代行は、多分誰にも出来ない。
それほどの高度で、難しい内容の仕事をいとも容易く処理している。
「ともかく、今日の桃香様のお仕事は、午前中はお休みになられることです。午後には私とご一緒していただき、南の新しく開墾している場所への視察をお願いします」
「あ、あれ? 午前中は、新設される市場の視察のはず……」
「そちらは警備の打ち合わせを兼ねて、馬正殿が代行するそうです。夜に報告書としてまとめるそうですので、そちらを御覧なさってください」
「……はーい」
私って、やっぱりダメだなぁ……
みんなに迷惑掛けてばかりで……
「……桃香様が人一倍頑張っておられるのは、皆が知っています。ですが、桃香様はご主人様ではないのです。無理をして、ご自分の良いところを潰されても困ります」
「良いところ?」
私にそういう愛紗ちゃんは、くすっと笑っていった。
「皆が『この人の為ならば』と思える直向さと人を慈しむ慈愛……それが桃香様なのですから」
―― 張飛 side ――
「朱里ー! いるかー?」
鈴々が朱里の部屋の前から声をかける。
中には入れない。
なにしろ、朱里と雛里の仕事する部屋の前には、何十人と言う文官が大量の竹簡を持って並んでいるからなのだ。
「あ、鈴々ちゃんー? すいません、そこ通してあげてくださいー」
部屋の中から声がする。
すると、扉付近に固まっていた文官が、道を空けるように左右へと分かれた。
「おじゃまするのだー……うわ」
中に入った鈴々は、思わずその光景に声を上げちゃったのだ。
それほど広い部屋でないとはいえ、天井まで積み上げられた竹簡の山。
そして、それを必死に片付ける女官の人と、新たに積まれていく未処理の竹簡をどこにおこうか迷う文官。
さらには、処理済の竹簡を手分けして運ぶ文官で、この部屋は凄い熱気だったのだ。
「……西地区の通路整備計画、出来上がりっと。百三十五番から三百五十番までの分を、外で待つ文官さんに振り分けてください」
「りょ、了解しました!」
「次は北地区の大通り拡張計画と、住民移転の草案……これは午後に来る雛里ちゃんに決定は任せます。その下準備の井戸と炊事場、火災対策の原案……二千五百六番の担当者を呼び出してください」
「は、直ちに!」
「孔明様、劉備様の視察は、馬正殿が代行するそうです。すでに警備兵と共にお出かけになられました」
「馬正さんなら問題ありません。あの周辺は犯罪も多い場所なので、かえっていい案が出るでしょう。桃香様は午前中お休みとしてありますから、伝達は愛紗さんにしてください」
「南地
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