第2話 ハム、扱いに困る
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「いや、だがな。あの関羽という者の武は実にたいした物だぞ。私の武人としての勘がそういっている。」
「なら伍長に命じて突撃させればいいでしょ。個人の武勇だけでは意味がありません。武官に求められるのは武勇ではなく、武名。」
「……同じではないか。武勇があれば武名が上がる。」
「全然違いますよ。武勇は人を従えられないが武名は人を従えられる。武勇が優れている者が軍隊を指揮するのに秀でているのであれば、軍隊は武術大会でも開いてそれで決めていますよ。」
いいですか?と田豫は述べる。
「この国では高祖から五を基準に軍制が作られていることはご存じでしょう。5人の兵従えるから伍長、10人で什長、25人で隊率、50人で属長、100人で伯長、500で屯長、1000からは軍侯、2500で師団長となります。12500の限界兵力を従える存在が将軍です。」
「……そんなことはわかってる。」
「いや、この話には続きがあります。基本的に与えられる地位は連れてきた兵数で決まるんですよ。劉備殿が本当に100人連れてくれば、部下の関羽とかいう人にその100を与えて、信頼できる劉備殿に500の兵を率いる屯長を任せられたんですよ。趙雲殿と同格です。でも兵が無しだと伍長が精々です。」
「都尉とやらになれる有望株なのだろう?」
「趙雲殿。その職を知っていて言っていますか?」
「知らん。」
趙雲は堂々と宣言し、田豫はため息をつく。
「簡単に説明すると太守は各地の県を回り、その政治を監査すること。そして有能な人材を挙げるのが仕事です。太守が軍事にかまけて本来の仕事ができないと、その郡の統治が乱れるでしょう?」
「確かに、郡都に引きこもっている太守なんて見たことがないな。」
居たら困るんですけどね。と前置きをしながら田豫が続ける。
「それを防ぐために軍事面の仕事を一任される都尉という職ができました。率いる兵力は師団長から将軍の間くらい。そして任地は最前線。漢でも軍事面では有数の実力者となるわけです。」
「ならば簡単だ。あれほどの武人を連れているのだ。劉備殿もすばらしい指揮官なのだろう。」
「いや、だからこそ、相応の地位に就けたら指揮系統がめちゃくちゃになるじゃないですか。今は戦争の準備で兵を集めて、連れてきた兵に応じて地位を与えて整備しているのに、その指揮官に、実績がないけどお前より優秀な友達がきたから兵士寄こせとでも言うつもりですか?もし貴女がそんなこと言われたらどう感じますかね。軍の士気が下がって負けますよ。」
「……ではあれほどの武人を使わぬのか?」
「しょうがないでしょう。時期が悪すぎます。兵士も連れてこないで兵士預けろって言えませんから。武に長けるなら公孫賛殿の護衛として近くにおいて
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