第三十二話 闇の書
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「一体どういうことだよ!」
ヴィータの声が夜の街に響く。
管理局の手を逃れるために一度別れた彼女たち。
実際その判断は正しく、三人は無事に逃げ延びた。
たった一人、シャマルを除いて。
「落ち着けヴィータ、焦っても何もならん」
「シグナム! だけどよ……」
「その通りだぞヴィータ、シャマルが接近されるまで気がつかなかった程の手練がいる以上、一瞬の油断が命取りになる、まずは冷静になることが先決だ」
「……わーったよ」
ザフィーラに諭され、渋々落ち着くヴィータ。
それを慰めるように、闇の書がヴィータに近づく。
「しかし何者だよ、非戦闘系だけどバックアップはかなり優秀なシャマルを捕まえるなんてあたしにも無理なのに」
「それは私も同じだ、クラールヴィントのセンサーからは誰も逃れることができぬはず、ん?」
シグナムは視線を上げる。
そこには何やらそわそわしている闇の書がいた。
「何か知って「みんなー! 遅れてごめんなさーい!」、シャマル!?」
闇の書が退くと、遠くから走ってくるシャマルの姿があった。
「お前! 捕まったんじゃなかったのかよ!」
「はぁはぁはぁ、そ、そうなんだけど、そうなんだけど」
息も絶え絶えに話すシャマルにイライラしつつも、なんとかそれを表に出さないように頑張るヴィータ。
「さ、先にこれを、お願い」
シャマルは握りしめていたものを闇の書に差し出す。
そこには銀色に光り輝くリンカーコアがあった。
side シャマル
「おーい、起きてー」
ペチペチと誰かが私の頬を叩く。
「ん? …………あ!」
手を手すりに縛られ、デバイスも取り上げられ、私はベッドに寝かされていた。
騎士服は解けて、元の服装に戻っている。
それを見て、私がどうなったのかを思い出す。
私は頑張って抜け出そうとするけど、きっちり縛られていた抜けない。
「こらこら暴れないで、話は多分すぐに終わるから」
多分ってなんだろう?
そんな些細な疑問を感じつつ私は抵抗するのを止める。
「……話とは何です?」
私は彼女を睨みつける。
顔を隠し、バリアジャケットに身を包んだこの子。たぶん、はやてちゃんと同じくらいの歳だと思う。
「ちょっと知りたいんだけど、なんであなたたちはリンカーコアを集めてるの? あなたたちの主はそんなことする人じゃないと思うけど」
それを聞いて、私は心臓が飛び出しそうになる。
(嘘、何で!? はやてちゃんのことがバレてる!)
はやてちゃんが直接蒐集に関わったことなんて一度もな
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