第5章 契約
第71話 名前
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る火焔山……火竜山脈の方角に視線を向けて居た俺の背後に、人ならざる気配が発生した。
ただ、この気配は何故か知って居る人物……と言うか、知って居る精霊の気配。
振り返った俺の視線の先に存在していたのは……。
長い黒髪を北風に晒し、緑を基調としたアール・デコ調のドレスに身を包んだ少女。
但し、アール・デコ調のドレスの特徴。コルセットから解放された、未だハルケギニアの貴族階級ですら着こなしていない先進的なドレスを身に纏いながらも、彼女が大地母神系の女神で有る事が強く意識させられる体型で有った事は間違いない。
常に俺の傍に居る二人の少女とは明らかに一線を画する体型。流石に九十センチを超えるキュルケと比べるとアレですが、それでも……。
「よう、久しぶりやな、妖精女王ティターニア」
見ては成らない物に視線が向かい掛けた事を気取らせない為に、普段よりも更に気さくな口調及び雰囲気でその場に顕われていた少女に声を掛ける俺。
そう。その場に顕われて居たのは、タバサが吸血姫へと覚醒した太歳星君事件の時に手伝って貰った相手。自らの事を妖精たちの女王で有るティターニアだと名乗る少女であった。
但し、彼女に関しては、最低でもこのガリア全体を統合する大地系の守護精霊だと思って居たのですが。
「お久しぶりです、忍さん」
彼女に相応しい、この場に存在する二人の少女から発せられる事のない、慈母の如きと表現されるべき表情の後に、そう語り掛けて来るティターニア。
但し、何故か……。おそらく彼女の東洋人風の容貌からそう感じるだけなのでしょうが、何故か、彼女から初めて呼ばれた俺の名前が、この世界の言語風の表現などではなく、漢字を主に使う民族的……。簡単に言うと、何故か日本語表記風で呼ばれたような気がしたのですが。
そう考えた後に、少し頭を振って思考の方向性を変えた。
そう。違う方向から考えてみると、このハルケギニア世界にやって来てから、色々な人ならざる者に出会いましたが、俺の名前を呼んでくれたのは彼女が初めてでしたから。
湖の乙女はあなた。タバサも同じ。ブリギットはオマエ。ジョゼフに至っては我が息子ですからね。
後はオルレアンの姫の使い魔扱いで、人間として呼び掛けてくれた事はなし。
「それで、今回、俺は何をしたら良いんですかいな?」
☆★☆★☆
本来の任務。マルセイユの土地神を召喚して、その土地神との間に絆を結び直す作業は、ティターニアが顕われた事に因り中断。
その後、この街に流れる龍脈の浄化と、街に存在する龍穴にティターニアの許可を受けて少しばかりの細工を施した後に……。
マルセイユの街に宿を取り、夜を待つ事しばし。
外は昼間の間、ずっと吹き荒れていた妙に生暖か
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