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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第71話 名前
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囲内では他に類を見ない非常に強力な王制ですから。

 完全に俗世に興味を失い隠棲したとしても不思議ではない状況で、王と言う職務。それも、ハルケギニア内では一番権限が大きい代わりに、一番仕事も多いと思われる国の王の仕事を熟している。
 俺にはとてもでは有りませんが、真似の出来ない事を行って居るのは間違い有りません。



 すべての言葉に因る説明が終わった後、俺の答えを待つ為の、しばしの空白が訪れた。
 秋に相応しい蒼穹から降り注ぐ陽光が、明かり取り用の高い位置に造られた窓からのみ差し込む。
 そう。今は何の変哲もない気だるい休日の午後。

 但し、今の俺は、決断を迫られる立場。

 確かに、今までの王の言葉で完全に納得した、とは言えないけど、少なくとも共感出来る点は発見出来ました。
 そして、この国民を欺くような策謀を行ったとしても、少なくとも国民。それは貴族も含めて、すべてのガリアの民に取って、今のトコロ悪い影響が現れるとも思えない内容。
 更に……。

 俺は、最初のようにジョゼフ一世の前に跪き、騎士としては最上の礼を示す形を取る。
 そうして、

「王よ、私がその御話を受け入れる為に、ひとつ約束して欲しい事柄が有ります」

 これが受け入れられないのなら、この話はここまで。
 いや、更に言うのなら、俺は湖の乙女とタバサを連れて、この国から間違いなく去る事になるでしょう。

「申して見よ」

 頭の上から、重々しい声が投げ掛けられた。但し、これから先に申し出る俺の交換条件は、この王には既に見切られている。
 何故か、そう言う事までが判って居る中での交渉と成るのですが。

「私が王位を継ぐかどうかについては、お約束は出来ません。
 ただ、陛下の影武者を一時的に勤めて、その職務から私が解放される時には……」

 其処まで一気に告げた後、一拍の間を置く俺。不自然な体勢。更に、この状況で夜魔の王たる吸血鬼に攻撃されたとしたら、如何に、龍種の俺と言っても無事に終わる事はない、と言う危険な状態。

 しかし、この程度の誠意は見せても良い相手だと、俺がこのガリアの王を判断している、と言う事を簡単に示す事の出来る体勢でも有る。

「オルレアン家の次期当主にして、次代のガリア王ルイのお妃となるシャルロット姫を、彼女が望むのならば、タバサと言う名前の普通の女性に戻る事をお許し頂けるのなら」

 王子の影武者ぐらいなら、幾らでも演じて見せましょう。
 流石に、最後の部分は口にする事もなく、そのままの頭を垂れたままの姿勢で、ジョゼフの答え待つ俺。

 少しの空白。
 ジョゼフから発するのは……これは、陽の雰囲気。ただ、まんまと自分の策に俺が乗せられた事をほくそ笑んでいる、と言う類の物などではな
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