第二章 風のアルビオン
第一話 王女と依頼
[1/13]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
朝。
教室の中、ルイズは憂鬱な気分で窓から見える青い空を見ていた。
思い出すのは、昨日見た夢、絶対に唯の夢ではない。
けれど、あれが何であるか分かるわけもなく、だからといって士郎に直接聞くのもためらわれる……。
「はぁ……どうしよう……」
「ルイズ、どうした?」
ルイズがため息を吐くと、いつの間にか後ろに立っていた士郎が話しかけてきた。
「な、何よっ、びっくりさせないでよシロウ」
「あ、ああすまない。しかし、驚かせるようなことをしたか?」
「うっ……いや、その……」
士郎と顔を合わせたルイズは、目を泳がせながら口を濁らせた。
そんなルイズを士郎が変な目で見ていると、教室の扉ががらっと開き、ミスター・ギトーが入ってくる。
生徒たちは一斉に席に着く。ミスタ・ギトーはフーケの一件の際、当直をほっぽり出して寝ていたミセス・シュヴルーズを責め、オスマン氏にからかわれまくった時に、頭を抱えて体を捻らせた際、腰を痛めてしまった教師である。
長い黒髪に、漆黒のマントをまとったその姿は、なんだか不気味であった。まだ若いのに、その不気味さと冷たい雰囲気からか、生徒たちに人気がない。
「では授業を始める。知ってのとおり、私の二つ名は『疾風』。疾風の―――」
ギトーが自身の名前を名乗ろうとしたが、それを遮るように、ポツリと誰かが呟いた言葉が教室に響いた。
「キョニュー……」
「「「「「ぷっ」」」」」
続けて
「ビニュー」
「「「「「ごふっ」」」」」
そして、最後に誰かが大きめな声で呟く。
「貧乳……」
「「「「「っっぶふっ!!」」」」」
―――あっはははっはは〜〜〜―――
教室が爆発したかと思うほどの笑いに包まれた。
―――バンッ!!―――
「わ・ら・う・な・あぁ・あ〜っ!!」
教壇を思いっきり両手で叩きつけたギトーが教室中を睨みつけた。
ギトーに睨みつけられた生徒たちは、笑いが漏れる口を必死で手で押さえて、笑いを押さえ込んでいるが、端から空気が漏れる様な笑いが聞こえ、完全には抑え込めていない。
それを憎々しげに睨みつけたギトーは、気持ちを切り替えるように咳を一つすると話を続けた。
「ごほんっ。では……まず最初に君たちに聞くが、最強の系統は知っているかね? ミス・ツェプストー」
「“虚無”じゃないんですか?」
「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」
いちいち引っかかる言い方をするギトーに、キュルケはちょっとカチンときた。
「それなら“火”に決まってますわ。ミスタ・ギトー」
キュルケは不敵な笑みを浮かべて言い放つ。
「ほほう。どうしてそう思うね?」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ