第二章 風のアルビオン
第一話 王女と依頼
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を笑みにすると、悪戯っぽくルイズに笑いかけた。
「ふふっ。わたくしったら、あなたの恋人だと思っていましたわ」
「ふぇっ! そ、そんなこ、恋人だなんてっ!」
アンリエッタの言葉に激しく動揺したルイズは、顔を真っ赤にさせて首を激しく左右に振った。
それを見たアンリエッタは、目を驚きに丸くしたが、すぐに顔に笑が浮かぶ。
「ふふっ。そう……」
アンリエッタは意味深げな眼差しを士郎に向けると、またも顔を俯かせた。
ルイズはそのアンリエッタの様子を心配気に見ると、おずおずと声をかけた。
「姫さま、どうなさったんですか?」
「いえ、なんでもないわ。ごめんなさいね……いやだわ、自分が恥ずかしいわ。あなたに話せるようなことじゃないのに……わたくしってば……」
「おっしゃってください。あんなに明るかった姫さまが、そんな風にため息をつくってことは、何かとんでもないお悩みがおありなのでしょう? ……力になれるかわかりませんが、わたしをお友達と呼んでくれるのでしたら、どうぞおっしゃってください」
ルイズの真摯な眼差しを感じ、アンリエッタは嬉しそうに微笑んだあと、決心したように頷くと、語り始めた。
「今から話すことは、誰にも話してはいけません」
それから士郎のほうをちらっと見る。
士郎はアンリエッタに挨拶をしたあと、離れてその様子を見ていたが、アンリエッタの視線を受けるとアンリエッタに声をかけた。
「席を外しますか?」
アンリエッタは首を振った。
「いいえ、結構です。メイジにとって使い魔は一心同体。席を外す理由がありません」
そして、物悲しい調子で、アンリエッタは語り出した。
「あなたも知っていると思いますが、アルビオンでは反乱が起こり、まもなく反乱軍が勝利を収めるでしょう……そうすれば、次に狙われるのはこのトリステインです……ですから、わたくしたちはそれに対抗するためにゲルマニアと同盟を結ぶことになったのです」
「ゲルマニアと……」
「それが、王族の義務というものですから……」
驚きに目を見開いたルイズに、哀しげな笑で微笑みかけるとアンリエッタは話を続けた。
「アルビオンの貴族たちは、トリステインとゲルマニアの同盟を望んでいません。二本の矢も、束ねずに一本ずつなら楽に折れますしね……」
アンリエッタは呟いた。
「したがって、わたくしの婚姻を妨げるための材料を血眼になって探しています」
「もし、そのようなものが見つかったら……あっ、もしかして」
アンリエッタの様子とここまでの話の流れで、話の内容を予測できたルイズは、ハッとした顔でアンリエッタを見ると、アンリエッタは軽く頷きながら言った。
「あれが婚姻を妨げ
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