第二章 風のアルビオン
第一話 王女と依頼
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ろしくなるように、しっかりと杖を磨いておきなさい! よろしいですかな!」
「えらく嬉しそうだが、そんなに王女がくるのが楽しみなのか?」
コルベールの話しのあと、にこにこと笑って教室から出て行くルイズに、士郎は後ろから声をかけた。
「あっ、そう言えば。シロウには言ってなかったわね」
ルイズは士郎の声に悪戯っぽく笑うと、士郎のそばに近づき背伸びをする。
顔を近づけるルイズに、士郎は答えるように膝を曲げた。
ルイズは膝を曲げ、近づいてきた士郎の耳に口を寄せると、囁くような小さな声で話しかける。
「姫さまとはね、子供の頃に一緒に遊んだことがあったの」
それだけ言うと、ルイズはシロウから離れて、苦笑いをしながら言った。
「きっと、姫様は覚えていらっしゃらないとは思うけどね」
どこか寂しげに言うルイズを見ると、士郎はルイズの頭にポンッ、と手を置き、優しく笑いかける。
「ルイズが覚えているんだ。きっと、姫さまも覚えている」
頭の上に置かれた士郎の手に、自身の手を重ねたルイズが、顔を赤くし、上目遣いで士郎を見上げて何かを言おうとしたが、横から急に表れたキュルケが、自分の腕を士郎の腕に絡ませ、士郎を引きずるように歩き出した。
「さあっ士郎! 早く門に行くわよ! トリステインの王女がどれ程のものか、確かめに行きましょう!」
「お、おいキュルケ。そんな急がなくとも」
キュルケに引きずられて行く士郎を、唖然と見ていたルイズは、顔を怒りで真っ赤にしながら、キュルケのあとを追いかけ出す。
「キュルケ〜! あんた何シロウと腕を組んでんのよ〜! 待ちなさ〜い!」
魔法学院に続く街道には、花々が咲き乱れ、街道に並んだ平民たちからは、歓呼の声が上がっている。
街道を豪奢な馬車が進んでいる。
豪奢な2台の馬車を、名門貴族の子弟で構成された王室直属の近衛隊、魔法衛士の面々が四方を固めている。前を進んでいる馬車を引いているのは、唯の馬ではなく、幻獣である、ユニコーンが引いていた。その馬車には、ところどころに金や銀、プラチナで出来た聖獣である、ユニコーンと水晶の杖が組合わさった王家の紋章が型どられている。
つまりこれは、王家の馬車であることを示していた。
だが、そんな王家の馬車よりも、豪奢な馬車が後ろに続いていた。
トリステインの政治を一手に握る、マザリーニ枢機卿の馬車である。
その馬車の風格の差が、今現在のトリステインの権力を誰が握っているのか、雄弁に物語っていた。
アンリエッタ王女はカーテンの間から歓呼の声を上げている、平民たちを見て、深いため息をついた。そこには、この年頃の少女が浮かべるような花の様な笑みは
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