第二章 風のアルビオン
第一話 王女と依頼
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ずがないだろう」
「………ッッ!!」
それを聞いた周囲の者が一歩ずつ後ろに引いたことを、うっとりとした顔で目を閉じているギーシュは気づかなかった。
「タバサはどうして?」
ルイズがぼうっとした顔で突っ立ているタバサに声をかけると、タバサはキュルケを指差し。
「心配」
「タバサ……」
短く答えたタバサを見たキュルケは、目を潤ませタバサを抱きしめた。
キュルケの胸に抱きしめられ、その豊満な胸に顔を埋もらせたタバサが手足をバタバタと震わせたが、目を閉じながらタバサを抱きしめていたキュルケは気付いていない。
そんな様子をギーシュは指をくわえて羨ましそうに、ルイズは恨めしげに、アンリエッタは目を丸くして、そして士郎は苦笑いしながら近づき、タバサをキュルケの胸から開放した。
「そろそろいいだろ、タバサが苦しそうだ」
「あんっ、もう」
「ぷはっ」
キュルケが士郎を恨めしげに見たあと、真顔になり、アンリエッタの前に膝まづく。
「アンリエッタさま、失礼ながらお話は聞かせてもらいました。出来ればその願い、私にも手伝わせてもらえませんか」
「あなたは一体?」
「ゲルマニアから来ました、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申します」
「ゲルマニアから……!」
「先ほどのお話しから、事の次第はトリステインだけで無く、ゲルマニアにも事は及ぶと思います。ですので、私も微力ながらも力になりたいと思います」
「わっ私はギーシュ・ド・グラモンと申します。わっ、私も姫殿下のお役に立ちたいのです!」
二人の間に割り込むように言うギーシュに、アンリエッタは困惑気な顔を向ける。
「グラモン? あの、グラモン元帥の?」
「息子でございます。姫殿下」
その様子をずっと黙って見ていた士郎は、大きなため息をつくと、苦い顔をして言った。
「詰まる所、みんなアルビオンに行くということだな」
士郎の言葉に、ルイズの部屋にいた皆が士郎に顔を向けた。
「ええ、もちろんよシロウ。もし、置いていくと言っても付いて行くわよ」
「ふんっ。もちろんだよシロウ。姫さまの願い、答えなくては貴族が廃るというものだよ」
「心配」
士郎は顔に手を当て、指の隙間から部屋の中を見回すと、深い溜息をつきアンリエッタに向き直る。
「よろしいのですか姫さま」
「わたくしには、何も……」
士郎の言葉に微かに首を振ったアンリエッタは、ルイズに近寄り、懐から一枚の手紙を取り出した。
そして、一度だけ手紙を悲しげに見たあと、そっと手紙をルイズに手紙を手渡した。
「これをウェールズさまにお渡しすれば、件の手紙が渡されるでしょう」
「姫さまこれは
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