第二章 風のアルビオン
第一話 王女と依頼
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る材料になるかはわかりませんが……わたくしが以前したためた一通の手紙です」
「手紙ですか?」
「そうです。内容は言えませんが……」
ルイズはアンリエッタに詰め寄る。
「姫さまっ、その手紙はいったいどこにあるのですか?」
「それが……手元にはないのです。実は、アルビオンにあるのです……」
ルイズの問いに、顔を伏せながらアンリエッタは答える。
それを聞いたルイズは、驚きに口を開かせた。
「あの……反乱で混乱しているアルビオンですか……」
「っ、ええっ。その通りです……頼んでもよろしいですか」
何かを耐えるように、体を震わせながらも伝えるアンリエッタを見て、ルイズは何かを決心したように頷くと、勢いよく立ち上がり、アンリエッタを見て言った。
「何を言っているんですかっ! 姫さまっ! このぐらい頼ってくださいっ! わたしたちはお友達なんですからっ」
最後の言葉を笑いながら言い切ったルイズを見たアンリエッタは、涙を滲む顔を笑顔に変えた。
「アルビオンの反乱はまもなく反乱軍の勝利で終わると聞きます。ですので、早速明日の朝にでも、ここを出発いたします」
ルイズは真顔になると、アンリエッタに頷く。
その言葉を聞いたアンリエッタは、士郎の方を見つめた。
「頼もしい使い魔さん」
「なんでしょうか姫さま」
「わたくしの大事なお友達を、これからもよろしくお願いしますね」
そして、すっと左手を差し出した。士郎は再びアンリエッタの前に跪くと、その左手をそっと手にとり、優しく口づけするとアンリエッタをその鷹のような瞳で見つめる。
「この身にかけて」
そして、立ち上がりながらアンリエッタを優しく見つめると、アンリエッタに聞こえる程度の声で囁く。
「ここでは、無理に笑わなくても大丈夫ですよ、ルイズも俺もそんな辛そうな笑顔はみたくありません」
「あなたは……」
アンリエッタが驚き、士郎に声をかけようとすると、士郎はいきなりため息をつき、ドアにかつかつと近寄るとドアを勢い良く開けた。すると、まるで雪崩が起こるようにギーシュ、キュルケ、タバサの順で倒れてきた。
それを呆れた顔で見た士郎はため息をつく。
「ハァ……生徒が話し込んでいるのかと思っていたが……まさか、聞き耳を立てていたとはな。何やってるんだお前たちは……」
「だって、ルイズの部屋に女の人が入っていったんだもん」
「『もんっ』てキュルケ……何を言ってるんだ」
キュルケが顔を背かせながら言うと、続けてギーシュが言った。
「かっ顔を隠した姫さまが、ここに来るのを見かけて……」
「顔を隠していてよくわかったな?」
「ふっ、姫さまのあの香しき香り、わからないは
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