第三十七話 少年期S
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っている新入生はかなり少ない。俺がよく一緒に遊んでいる中でデバイスを所有しているのは、俺と少年Eと少女Dの3人だけだった。
それと新入生は魔法の座学から習っていくため、実際に魔法を使う場面がなかったのである。だから俺としては、同年代の魔法を初めて見ることになる。そんなこともあり、少年Eの魔法を非常にわくわくしていたわけなのだが。
「……ヒュギエイア、セットアップ」
「ものすごく淡々」
もっとテンションをあげようよ。少年Eが持っていたデバイスから魔力が流れ、装着型のグローブの様なものへと変わっていく。へぇ、杖以外に変化するデバイスは初めて見たなー。
……って、もう正方形の魔方陣発動させとる!? しかも詠唱が超小声すぎて、こっちに全然聞こえてこないんですけど! 詠唱は自分のイメージを固めるためのものだから、周りに聞こえなくても問題にはならないんだけど、パフォーマンス精神がこれっぽっちも感じられないよ!
「召喚」
「「いきなりッ!?」」
どこまで魔法が出来上がっていたのかすらわからなかった俺と少年A。何を召喚する気かもさっぱりわからない。少年Eより2メートルほど離れた先に、正方形の魔方陣が浮かぶ。陣の中央には円型の小さな魔方陣がさらにあり、そこも含め白い光が溢れ出す。咄嗟に身構えた俺たちの目の前に眩い光が放たれ、ついに呼び出された。
「…………キャベツ?」
「キャベツだな」
そして、ファンタジー全開で召喚されたのは、瑞々しくも張りがあり、重さも申し分なさそうなおいしそうなキャベツだった。
「召喚」
「え、さらに詠唱してたの!?」
「次は……おいしそうな玉ねぎだな。おぉ、今度はエビが出てきた!」
「リトス、お腹がすいていたのかな」
もはや何をどうリアクションしたらいいのかわからなくなってきた俺たち。白い魔方陣から次々と食材が姿を現す。先生もアドバイスした手前、なんと声をかけていいのか戸惑っていた。
念のためキャベツに近づいて確認してみると、泥がついているので自然のもののようだ。店から取ってきてしまったわけではないようなのでほっとした。俺の手で持ち運ぶのが無理なぐらい大きく重いキャベツ。これはかなりおいしいものだろう。少年Aも同じようにエビを調べたが、ピチピチと元気よく水をはねながら動いているので、こっちも自然界の物のようだ。
「なんかこの材料なら、バーベキューとかもできそうだな」
「あ、バーベキューか。おいしそうだね」
「だよな。バーベキューにすると野菜がおいしいし、エビはプリプリだし、これに肉とかがついたらさらに―――」
この時の俺の発言は、かなり迂闊なものだったと後で後悔した。魔法とは魔導師の魔力を使い、そしてイメージに沿って現象を起こすものだ。その
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